県経済や企業経営を取り巻く環境の厳しさを乗り越え、景気回復へ盤石な態勢で挑む。2010年の仕事始めに主要企業のトップからこんな息遣いが聞こえてきた。
「厳しい向かい風の状況にある。ひるむことなく、一歩でも半歩でも前に進む胆力が必要だ」(石嶺伝一郎沖縄電力社長)、「変化を恐れない危機感を。全社員が志を持ち一丸と―」(金城克也りゅうせき社長)。並々ならぬ決意だ。
経営トップの状況認識はいつになく「厳しさ」が前面に出ている。経済界も労働界もこうした認識を共有し、協力すべきは協力して危機に立ち向かってほしい。
顧客サービスの充実や商品の品質向上、従業員の安定的な雇用確保などを通じた、盤石な経営基盤の確立こそが企業の最大の社会貢献だ。この根幹がぐらついては攻めの経営などおぼつかない。
その点、県経済をリードする企業の多くの経営トップが従業員個人の自覚と行動、地域の信頼と支持を勝ち取る地道な活動など「原点回帰」による危機突破を年頭に呼び掛けたのは見識を感じさせる。
08年秋のリーマンショック以来の世界的な不況は県内の観光や雇用にも大きな打撃を与え、県内企業は青息吐息の状態だ。
こうした中、県内の経済専門家からは観光と医療を組み合わせた「メディカルツーリズム」促進の提言や、公共工事削減を直視しての「10年単位の将来構想づくり」など景気回復に向けた処方箋(せん)がいくつも示されている。
少子高齢化の潮流、戦後最悪のマイナス成長が日本経済に影を落とす中、こうしたピンチをどうチャンスに変えるか。新年は反転攻勢で企業の構想力が問われよう。
企業にとって時間やお金に余裕のある層をどう「お得意さま」として取り込むかは今日的なテーマだ。エコノミストの中には子ども1人に対する大人の支出が増えて教育関連で高額の商品やサービスを提供する市場が広がると分析、少子化にビジネスチャンスを見いだす者もいる。
個々の企業の元気回復が景気回復の前提だ。明確なビジョンを持ち一歩、また一歩と歩み出す時だ。
「足元を見つめ、新たな時代を切り開く挑戦の年にしたい」(嘉手苅義男オリオンビール社長)。トップの熱き思いが鮮やかに開花する新年になることを期待したい。
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