言語消滅危機のニュースと。
Posted on 2009年2月22日(22:00)2 Comments
先日知ったニュース。
asahi.com(朝日新聞社):世界2500言語消滅危機、ユネスコ「日本は8語対象」
記事によると、
沖縄県の八重山語、与那国語が「重大な危険」に、沖縄語、国頭(くにがみ)語、宮古語、鹿児島県・奄美諸島の奄美語、東京都・八丈島などの八丈語が「危険」と分類された。ユネスコの担当者は「これらの言語が日本で方言として扱われているのは認識しているが、国際的な基準だと独立の言語と扱うのが妥当と考えた」と話した。
とのこと。
最近の学説がどうなっているかは知らないのだけれど、言語は思考に影響を与えるという考え方は、ワタシはかなり妥当なのではないかと思っていて、だとすると、ひとつの言語が滅びるということは、その言語によって認識される「世界(観)」が消えてゆくということだと思えるのですね。
古くからの言葉を守ろう/いや言葉は変わるもの、という議論もしばしば聞くけれど、それは、正しい言葉/正しくない言葉、という観点よりも、言葉が象る世界の「多様性」や「豊かさ」の可能性が消えてゆくのか/広がってゆくのか、という点で語られるべき話なのではないかと。
歴史上これまでにも滅びてしまった言葉はいくつもあって、上の記事に挙げられた言葉たちをそれらと比べて軽重をつけることはもちろん意味はないだろうけれど、自分が多少でも近しい気持ちを覚えている言葉がその対象になっているのは、とても寂しいものです。
追記:
ワタシはカミさんに教えてもらったのだけれど、下地勇さんという宮古島出身の歌手がいる。
彼の詞の多くがまさしく宮古語で書かれていて、実際聞いてみると、文字で歌詞を追わない限り何が歌われているのかまったく分からないのですね(完全に分かる人は世界でも3000人程度なのだそうだ)。
しかし、力強く哀調のある声とフォルクローレのようにも聞こえるメロディーには、とても惹かれます。
このニュースを聞いたから、ということだけではないのですが、よろしけれこちらで試聴してみてくださいませ。
「ATARAKA(アタラカ)
」(下地勇)
ワタシのオススメは、「アタラカの星」や「商店(マッチャ)のおばぁ」などであります。
追記その2:
直接の関係はないけれど、寂しいついで(?)にこちらも。
沖縄に出かけるときなどに、よく参考にしていたローカル系雑誌二誌が休刊とのこと。
昨年から今年にかけてジャンルを問わずに休刊が相次いでいるように、雑誌はどこも厳しいなの状況なのだろうけれども、どちらも地元編集ならではの濃い記事を楽しく読ませてもらっていただけにとても残念です。
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