ワゴン車に向かう仲間の男。この後、トランクからバンドを取り出した=大阪市浪速区、駐車場運営会社提供
精算機にバンドを巻き付けようとする男=大阪市浪速区、駐車場運営会社提供
精算機に巻いたバンドを固定する男=大阪市浪速区、駐車場運営会社提供
精算機が盗まれ土台だけが残った=大阪市浪速区、駐車場運営会社提供
コインパーキングの精算機が根こそぎ盗まれる事件が大阪府内で相次いでいる。大阪府警によるとこの2カ月で27件発生し、被害額は計約200万円に上る。精算機にバンドを巻き付けて車で引き抜く荒っぽい手口だが、犯行時間はわずか1分。府警は同一グループによる連続窃盗とみている。対策には新たな投資も必要で、業者は頭を悩ませている。
大阪市浪速区のビル街にあるコインパーキングの3台の防犯カメラが、昨年12月14日午前4時27分、犯行の瞬間をとらえていた。
黒っぽいワゴン車が精算機の前に横付けされる。出口の外の別の乗用車から男が走ってきた。黒っぽいウインドブレーカーの上下に黒っぽいキャップ帽をかぶり、顔をマスクで覆っている。車のナンバープレートは不鮮明で読み取れない。男はワゴン車のトランクから太いバンドを取り出し、精算機に巻き付けた。直後、ワゴン車はバンドをつないだまま発進した。
この瞬間、映像が切れた。精算機の近辺を通っているカメラの配線が断線したためだ。ワゴン車の進入からちょうど60秒後のことだった。
精算機は高さ1.4メートル、重さ125キロ。「まさか機械ごと持って行かれるとは」と駐車場の運営会社(大阪市)の担当者は驚く。映像には見張り役の男の姿も映っており、マスクの男やワゴン車の運転役を合わせ、少なくとも3人がかりで持ち去ったようだ。
同社は同日中に府警に被害を届け、約6キロ離れた路上に精算機が捨てられているのが見つかった。機械はこじ開けられ、売上金と釣り銭計約12万円を奪われていた。
府警によると、似た手口による被害は府内で昨年11月16日から年末までに25件。大阪市東部や東大阪市内に集中し、その周辺にも広がっている。このうち6件は精算機を引き抜くことができずに逃走していた。今年に入ってからも府内で2件起きている。