ニュースGoogle、「中国から撤退決定」報道を否定 交渉を継続Googleが既に中国オフィスの閉鎖を決めたと報じられているが、Googleはこれを否定し、今後数週間は中国政府と交渉するとしている。(ロイター)2010年01月18日 10時00分 更新
米Googleが検閲問題をめぐり、世界最大のインターネット市場である中国から撤退する決意を固めたとの憶測が流れる中、同社と中国政府との瀬戸際外交は2週目に入った。 Googleは先週、同社ネットワークに対する高度なサイバー攻撃により知的財産が盗まれたことを受けて、中国からの撤退を検討していることを明らかにした。 同社は、中国語版の検索エンジンGoogle.cnでコンテンツをフィルタリングしないという意向を示し、フィルタリングのない検索結果を認めなければ、中国から撤退する方向で政府と交渉すると明らかにした。 1月17日の時点でGoogle.cnのフィルターはまだほとんど残っていたが、1989年6月4日の天安門事件など、一部の検索結果についてはフィルタリングが緩和されたようだ。 Googleの発表は、3億8400万人の中国のネットユーザーの注目を集めた。ブログや地元メディアは匿名の内部関係者の発言として、Googleは既に中国オフィスを閉鎖することを決めたと伝えている。 Googleはこの報道を否定し、同社はまだ12月半ばの攻撃を受け、社内ネットワークを調査しているところだとしている。また、今後数週間は中国政府と交渉するとも話している。 中国政府はGoogle撤退の脅威は小さいとし、この問題を解決する方法は多数あると述べている。だが、Googleを含め、国外企業は中国の法律に従わなければならないとも主張している。 米政府は、中国に外交通達を送り、サイバー攻撃についての説明を正式に求めるとしている。 今回のGoogle問題は、中国と米国に新たな火種をもたらす恐れがある。両国は既に、中国の為替レートや保護貿易主義、米国の台湾への武器輸出をめぐって緊張関係にある。 米政府は以前から、中国のサイバー諜報プログラムを懸念していた。米議会の諮問委員会は11月に、中国政府が自国軍に有用なデータを集めるために、米国のコンピュータに侵入してきているようだと報告した。 Googleは2006年に自主検閲をすると決断してGoogle.cnを立ち上げたとき、情報へのアクセスを拡大することで、中国のユーザーに恩恵がもたらされると話していた。 「妥当な決断を下したと思っている。ただ、最善の決断であると最終的に証明されるかどうかは分からない」とGoogleの広報責任者は当時、外交委員会で語っていた。 Googleが今回、検閲を公然と非難し、中国のハッカーが攻撃を仕掛けて知的財産を盗んだと告発したことは、大胆な動きと受け止められている。 「一企業が中国政府に対して、このように公然と、正面から対峙(たいじ)したことはなかった」と広報コンサルティング会社Apco Worldwideの上級カウンセラー、ジェームズ・マクレガー氏は言う。 だがこの動きは裏目に出る可能性もある。中国から撤退するという脅しを実行するかどうかにかかわらず、Googleの中国での展望に既に打撃が出ている兆候も見られる。 JPMorganのアナリスト、ディック・ウェイ氏は、Googleと中国政府は緊張関係にあり、Googleが同国にとどまると決定した場合は、もっと厳しい規制を受ける可能性があると指摘する。 UBSのアナリスト、ワン・ジンジン氏も、今回の行動の結果、Googleと広告主との関係が損なわれ、広告主はBaiduを選ぶだろうと確信している。 米Yahoo!も16日、次第に大きくなるこの騒動に巻き込まれた。Google支持を表明した同社の声明を、中国でのパートナー、Alibaba Groupに激しく非難された。 ライバルのMicrosoftはGoogleが提起した懸念を退け、中国から撤退する予定はないとしている。 Microsoftは中国でBing検索エンジンに大きな期待をかけている。Bingは市場シェアが小さいが、中国でBaiduに次いでナンバー2となっているGoogleが撤退すれば恩恵を受ける可能性がある。 関連記事
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