1.本日(22日)午後、大阪地方裁判所第12刑事部(川合昌幸裁判長)は、関西地区生コン支部事件(大谷生コン・旭光コンクリート事件)の判決公判で、武委員長に対する実刑を含む、次のような不当極まりない判決を下した。
武 建一委員長 懲役1年8カ月(未決勾留日数中170日算入)
片山好史執行委員 懲役1年8カ月(執行猶予5年)
武谷新吾執行委員 懲役1年4カ月(執行猶予4年)
西山直洋執行委員 懲役1年4カ月(執行猶予4年)
福嶋 聡執行委員 懲役8カ月(執行猶予4年)
なお、この事件で被告とされた執行委員1名は無罪判決だった。
判決言い渡しののち武委員長はそのまま収監されたが、弁護団が再保釈請求をして即座に保釈を実現した。
この判決は、本来は社会正義実現のために公正であるべき裁判所が、その立場を自ら放棄して、警察・検察の労働組合弾圧の意図を代弁することに終始した、お粗末な政治的作文というほかない。
連帯労組はまず、明日23日、全ての地方本部、支部、分会が、この不当判決を糾弾する全国統一行動に満腔の怒りを込めて立ち上がる決意を明らかにするものである。
2.この事件は、関西地区生コン支部がすすめる正当な労働組合活動が刑事事件に仕立て上げられたものである。
関西地区生コン支部は、ゼネコンの不当な買い叩きと欠陥生コンが横行する生コン業界の立て直しをめざしてきた。中小企業である個々の生コン業者が、法律で認められた協同組合の下に大同団結すれば、採算が取れる適正価格での販売が可能になる。そうなれば、中小企業の経営安定と労働者の雇用安定はもちろん、欠陥製品を追放して高品質な生コンの供給が実現できるようになり、消費者の信頼が得られる業界に変えることができる。こうした産業政策にもとづいて、他の生コン関連労組はもとより協同組合に参加する中小企業とも手を携えて、関西地区生コン支部は、いわゆるアウトサイダー業者に対し協同組合加入を働きかけてきたのである。
この運動に対する共感と支持は生コン業界にとどまらず、セメント輸送やコンクリート圧送といった関連の中小企業産業にも広がり、地域的にも関西一円から全国に広がっていた。
この運動の広がりを怖れた大阪府警と大阪地検が、大谷生コンと旭光コンクリートの2社に対して協同組合加入を働きかけた関西地区生コン支部の活動をとらえて、これが強要未遂及び威力業務妨害罪にあたると難癖をつけ、2005年1月以降立て続けに仕掛けたのがこの事件である。
産業別の労働組合が独自の政策を立案し、業界の安定と消費者の利益のために活動することのどこに犯罪性があるというのであろうか。
それにもかかわらず、警察と検察は、生コン業界の過当競争を利用してきたゼネコンとセメントメーカーという大企業の利害を代弁し、いわゆる国策捜査の手法を用いて事件をねつ造したのである。
大阪地裁の判決は、生コン業界の構造的特性や関西地区生コン支部がすすめた産業政策運動の意義を吟味することは全くせずに、警察と検察の言い分を丸飲みして書かれたものというほかない。
そればかりではない。武委員長に実刑判決を下すと同時に、他の執行委員にも極めて長期間の執行猶予を付けたことをみれば、裁判所は、関西地区生コン支部の活動を弱体化させることに執念を燃やしてきた警察や検察のお先棒を担ぐ役割を演じていると非難されても反論できないはずである。
3.われわれは激しい怒りに燃えている。
労働組合と中小企業が血みどろになってすすめてきた運動の成果を、国家権力がいかなる手段を用いて圧殺しようとしても、われわれを屈服させることはできない。
冒頭述べたとおり、われわれはまず、明日以降、全国いっせいに抗議行動に立ち上がる。
そして、この統一行動を皮切りに、この判決の不当性を徹底的に明らかにし、判決糾弾の声を全国各地に広めるべく奮闘する。昨年夏から秋に集約した公正裁判を求める署名は全国津津浦々から3,000団体、20万人に達している。その活動に応じて下さった各地の労働組合、市民団体、そして無数の市民の方々の力をいま一度お借りして、不当判決を糾弾し、正当な産業政策運動を支持する声をより大きな社会的世論に育て、控訴審で完全無罪判決を勝ち取るべく努力するものである。
同時に、われわれは、政治権力と大資本がいかなる弾圧を加えようとも、中小企業と労働組合の協力に基づく産業政策運動をこれまで以上に強力に、そして、より強い確信をもってすすめ、関西地方はもとより全国各地に広げていくものである。
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