2010.1.18 05:00
今年4月、シャープは中国・南京市に液晶テレビの設計開発拠点「液晶設計開発センター」を設立する。現地の消費者にマッチした製品を生むのが狙い。
すでに、南京市の情報・通信機器大手の中国電子信息産業集団(CEC)と、パネル生産で合弁会社を設立することで基本合意。ここでは、「第8世代」と呼ばれる最先端の液晶パネルの生産を目指している。
一方で、現在休止している亀山第一工場(三重県亀山市)の旧世代液晶パネルの生産設備はCECの孫会社に売却する計画だ。国内生産にこだわってきた主力のテレビ用液晶パネルもついに海外生産に踏み切る。
≪円高リスクを警戒≫
為替リスクが企業に海外移転を促す構図が、ぶり返している。1985年のプラザ合意以降、たびたび浮上する産業空洞化の議論は、やはり円高が火付け役だ。過去の円高局面で苦い経験を積んだ自動車各メーカーは現地生産・販売を一層推し進めている。
日産自動車は年内に発売予定の世界戦略小型車を、タイを皮切りにインド、中国の工場で生産する。これらの工場で生産された車は、欧州や中東などへ輸出されるほか、小型車「マーチ」の後継車として逆輸入される。日産は1ドル=85円でも競争力を保てるような体制の構築を目指す。
これに対して、同社の高級車ブランド「インフィニティ」など生産台数の約8割を輸出に依存する栃木工場(栃木県上三川町)では、生産台数減が懸念されている。「国内生産を残すためには、(効率化など)質の改善を進めるしかない」。志賀俊之COO(最高執行責任者)は厳しい表情でこう語る。