裁判員裁判を実施する地裁(本庁50カ所、支部10カ所)は対象事件が起訴され、公判前整理手続きが終わると、選挙人名簿から年1回無作為抽出して作成した裁判員候補者名簿から50―100人程度をくじで選び、6―8週間後に実施する裁判員選任手続きへの呼び出し状を送る。呼び出し状に同封される質問票などへの回答で辞退を希望し、認められた人などは呼び出しを取り消す。選任手続き当日は、裁判長による質問や検察官・弁護人の不選任請求、くじなどを経て裁判員(原則6人)と欠員に備える補充裁判員を選ぶ。
(2010年1月7日掲載)
昨年8―12月に50地裁(8支部含む)で実施された裁判員裁判138件の裁判員選任手続きに呼び出された候補者計5842人のうち、622人(11%)が欠席したが、裁判員法に定められた過料を科された人はいないとみられることが6日、共同通信の集計と取材で分かった。各地裁は選任手続きに支障がなく、過料の必要はないなどと判断しているもようだ。ペナルティーを恐れ、渋々地裁に出向いた人が不満を持つ可能性がある。
集計などによると、各地裁はそれぞれ裁判員候補者名簿から60―160人を抽出。辞退希望を認めた人などを除いた24―65人に選任手続きへの出席を求め、0―14人(呼び出し状が届かなかった人も含む)が欠席した。全員が無断欠席とは限らないという。
候補者の欠席率(辞退者などを外し呼び出した人数に対する欠席者の割合)が高かった選任手続きは、(1)12月15日の那覇地裁(殺人未遂事件)29%(2)11月30日の神戸地裁(殺人事件)24%(3)12月14日の京都地裁(同)と9月29日の福島地裁郡山支部(同)23%−の順。
逆に欠席者がいなかったのは、10月7日の大阪地裁、同27日の甲府地裁と松江地裁で、3件とも強盗致傷事件だった。
裁判員法112条は、候補者が正当な理由なく選任手続きに出席しない場合、地裁の決定で10万円以下の過料に処すると定めているが、決定は裁判所の裁量に委ねられている。過料は義務違反などに対し、金銭を徴収する制裁で、刑罰の罰金とは異なる。
6日までに欠席者に過料を科したと公表した地裁はなく、複数の裁判所関係者も「過料を科したケースは聞いていない」と話している。
裁判員選任手続きに出向いた、ある候補者は裁判所のアンケートに「呼び出し状に10万円以下の過料とあり、インパクトはある」と答えた。報道各社の取材に「欠席すると過料を支払わなければならないので来た」などと話した候補者も多い。
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