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江川氏「僕の中ではまだ終わっていない」

沈痛な面持ちで会見する江川氏
沈痛な面持ちで会見する江川氏
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 【小林繁氏急死】沈痛な面持ち。目には涙をためていた。午後10時。日本テレビ内で会見した元巨人の江川卓氏(54)は時折、声を詰まらせて言った。

 「突然の死でびっくりしました。今年から日本ハムで1軍のコーチになられるということで、また球場に行ったら、お会いするんだろうなとは思っていたんですけど…。大変残念です」

 プロ野球界を揺るがした江川事件。当事者として小林氏を巻き込んだ責任は忘れたことはない。電撃トレードから1年後の80年1月だった。東京・飯倉のステーキ店で偶然顔を合わせ、あいさつしようとしたが手で制された。そして同年8月16日の初対決。雨の後楽園で完投勝利を収めた。

 「一生の中で負けるわけにはいかない試合は2つ、3つある。そういう試合で勝つことができて小林さんに恩返しできたと思う」。直接対決は7勝2敗。一方で通算成績は自身の135勝に対し、小林氏は139勝。「入団の時から小林さんの成績を抜かないといけないという思いでやってきましたが、抜けなかった」と振り返った。

 現役時代2人だけで言葉を交わすことはなかったが、07年9月に酒造メーカー「黄桜」のCMで共演。トレードから28年後の和解だった。「その時におわびしました。“お互い大変だったな”という言葉をもらい、凄くホッとした」。結局、それ以来再会を果たせず、小林氏は逝った。

 江川氏は唇をかみしめながら言った。「僕の中では(江川事件は)まだ終わっていない。原因はこちらにある。小林さんが亡くなったからといって、申し訳ないという気持ちは一生なくならない」。小林氏のために何ができるか。自問自答した。「小林さんが残したプロ野球の実績、気持ちが凄く強い方だったので、そういうものは伝えていけたらと思います」

 夜には自身がキャスターを務める日本テレビ「SUPERうるぐす」で天国の小林氏へメッセージを送った。「もう1回投げ合ってみたいですね。全力で」。54歳。江川氏は小林氏の生きざまも背負い、生きていく。

 ≪07年9月CMで再会≫2人が再会した酒造メーカー「黄桜」のCM撮影は、07年9月に都内で行われた。台本は一切なし。4台のカメラの前で、それぞれの思いを語り合った。「お互いきっかけを探していた。憎しみはもうないよ」と小林氏。撮影は66分間におよび「これからは会ったらオレから声を掛けるよ」とも話した。一方、江川氏は再会の際に「長い間、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。テレビ番組内で撮影を振り返った時には「大変緊張した。会えてよかった…」と涙した。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年01月18日 ]

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