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社説

海自給油終了 実態の検証こそ必要だ(1月15日)

 インド洋における海上自衛隊の給油活動が新テロ対策特別措置法の期限切れに伴い、きょう終了する。

 「9・11」を受けて米国が始めたアフガニスタンとイラクの二つの戦争に、日本は陸海空の3自衛隊を派遣してきた。

 短期間の中断をはさみ、8年もの間給油を続けた海自の撤収で、すべての活動を終える。

 長い年月、洋上で使命を果たしてきた隊員の労苦をねぎらいたい。

 この活動は当初から平和憲法との整合性が問われた。実態が十分に明らかにされてこなかったのも事実である。鳩山由紀夫政権の決断で終止符が打たれるのを機に、しっかり検証していくことが重要だ。

 民主党は野党時代、政府に情報公開の徹底を突きつけてきた。政権に就いた今こそ、実行を求めたい。

 アフガンでの「対テロ戦争」を支援する給油は2001年12月に開始された。自衛隊にとって初の戦時派遣で、その後のイラク復興支援活動に道を開くこととなった。

 派遣先は非戦闘地域で外国軍の武力行使とは一体化しない−。政府はそう説明した。だが国会では、実態は米軍が主導する戦いの後方支援であり、集団的自衛権の行使に当たるのではないかと指摘されてきた。

 野党が、給油先の外国艦船がイラク作戦に従事したという「転用疑惑」を追及したこともある。当時の自公政権は関係国の要請を理由に艦船名などの情報提供を拒み、疑惑はいまも解消されないままだ。

 政府は「国際テロリズムの防止と根絶」を目的に掲げた。確かに給油先国からは評価する声が伝えられ、国連決議で謝意も表明された。

 しかし、アフガンで反政府武装勢力タリバンが復活を遂げ、アルカイダ系組織がイエメンを拠点に活動を強める現状を見れば、その効果にも疑問はぬぐえない。

 国論が大きく分かれる中で、実力組織を海外に送り出したのだ。長年の活動を正確な資料で裏付け、憲法問題や具体的な効果について詳細を明らかにする作業が欠かせない。

 格好のモデルが英国にある。イラク参戦の正当性を検証するためにブラウン首相が昨年設置した独立調査委員会だ。ブレア前首相をはじめとする政府と軍の高官を証人喚問し、外交文書や機密書類を精査する。

 年末に報告書をまとめるという。

 鳩山政権は給油に代わり、5年間で50億ドル(約4550億円)の対アフガン民生支援を決めた。

 日本にふさわしい国際貢献のあり方は何か。教訓をくみとって今後に生かしていくために、イラクでの活動を含め国民に開かれた場で総括の議論を進める必要がある。

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