2005-03-23 最凶、最悪のマンガ(ワンモア)2
■[コミック]
![](/contents/031/578/417.mime1)
- アーティスト: ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
- 出版社/メーカー: リスペクトレコード
- 発売日: 1999/12/08
- メディア: CD
- クリック: 7回
- Amazon.co.jpで詳細を見る
で、昨日の続きだが、食肉業界というのも、過去の歴史にいろいろとあったようで障害やある種の病、人種、皇室などと並んですごくセンシティブなテーマなのだが、氏賀Y太はしっかり挑発している。
題は「ゆめいろハンバーグ」。内容を考えると、凶悪なタイトルである。
ストーリーは、SF近未来風で、「姥捨て山」がモチーフとされている。近未来の日本では一定の年齢に達した高齢者は有無をいわさず安楽死させられるという法律が設定されている。
そして死んだ高齢者は「センター」という場所で解体され、ミンチ肉にされ、主にハンバーグなどに加工されて国民の食卓に饗されるのである。(氏賀のマンガには、食人をタブー視するという概念はない)
主人公は、その人肉解体所「センター」で働く女の子である。多額の借金を背負い、やむなく働かざるを得ないという孤独な人間である。「センター」なんかで働きやがって、と周囲に疎まれ、たまにレイプ(読者サービス)されてしまう。
で、ヒロインは、「おばあちゃんに会わせてー」と最近解体した老婦の孫に迫られるのだが、「ハンバーグになって、あなたが食ったのよ!」とキレ、まだ年端のいかない男の子をマウントポジションでがんがん殴るのである。
と、このように、この「真・現代猟奇伝」では全方位に向けて挑発という名の艦砲射撃を繰り広げている。
差別、という問題も起こしかねないが、おそらく氏賀自身には差別意識はないだろう。
差別というのは、こういうのを言うのである。
http://pro.tok2.com/~sino777/v15.htm
このように差別というのは、悪意もなく、信念もなく、しれっと、さくっとやってのけるものなのである。(おいY君、こいつはケッ作だと思わないか?)まあ、消えたマンガを蒸し返してもしょうがないけれど。
差別意識はおそらくない。しかし社会に対する挑戦、世間を騒然とさせたいという信念はびんびんに伝わってくる。おそらく抗議などがあれば、きっと全力で戦うことだろうと思う。というよりも、望むところだと待ち構えているフシさえ感じられる。この先、どうなるかはわからないが、日本でもっとも危険なマンガの一つとして、好事家は持っていて損はない、かな。
あ、あとこれまでエロマンガで一番とんでもなかったのは、作者もタイトルも忘れてしまったのだが、某有名映画監督をロリコンの変態オヤジとして、悪意たっぷりに描いた作品だった。
高尚なネイチャリズム、ガイア思想などをマスコミに得々と語りながら、自宅の地下室に幼女を監禁し、陵辱するというもので、部屋の壁には「魔女のセールスドライバー」(笑)というポスターが貼ってありました。買っておけばよかったな。くそ。
写真は「差別と聞いちゃ、黙っちゃおかないぜ」、インターナショナルや水平歌といった左な歌をかっとばす、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットのジャケ。名盤。
これは、おがわ甘藍の「いけない少女」に所収されている作品ですね。
ネット古本屋かamazonのユーズドで手にはいると思います。
ちなみにこの人が小川幸辰って名前で書いていたころの「エンブリヲ」はお勧めです。
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20061218
エンブリヲというのは知らなかったですね。ありがとうございます!
ちなみにエンブリヲはナウシカへのアンチテーゼにあふれている作品で色々と素晴らしいです。
(かなり昔に絶版になったので若干手に入りづらいですが…)