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百貨店、着々と新戦略…大阪市内 増床ラッシュ

高島屋・阪急…高級感打ち出す、大丸・近鉄…低価格路線柱に

3月に開業する高島屋大阪店の増床部分に設けられる海外ブランド品売り場のイメージ図

 2011年以降に増床や新築が相次ぐ大阪市内の百貨店で、増床後の戦略を占う新売り場の開業が相次いでいる。高島屋大阪店(中央区)や阪急百貨店梅田本店(北区)が「高級感」を打ち出す一方、大丸心斎橋店北館(中央区)や近鉄百貨店阿倍野本店(阿倍野区)は、低価格路線にかじを切った。

(船木七月、井戸田崇志)

 高島屋は13日、大阪店で進めている増床・全面改装工事の1期部分の開業日を3月2日にすると発表した。海外ブランド品売り場(1、2階)の面積を改装前の1・4倍に拡大して得意とする45〜64歳向けの売り場を強化するほか、これまで取り込めていなかった19〜24歳向けの売り場も5階に設け、幅広い層に対応する。

 1、2階に、ジョルジオ・アルマーニやドルチェ&ガッバーナのほか、仏婦人衣料ブランドのアンドリュー・ゲンなど百貨店初や関西初のブランドをそろえ、面積は西日本最大級の7000平方メートルだ。

 1期部分は、本館東の建物を2万2000平方メートル増床し、2年間で計320億円の増収効果を見込む。この後、本館と西館も改装し11年春に3館を一つの建物(計7万8000平方メートル)として全面開業する。増山裕常務は記者会見で「高島屋らしい上質感を追求していく」と述べた。

 大阪地区の百貨店の売上高は09年11月まで20か月連続で前年実績を下回ったが、相次ぐ新築・増床により、売り場面積は増床前の1・5倍に拡大し、生き残りをかけた競争が激化する。

 阪急梅田本店も09年9月開業の第一期棟で、高級路線を継続する姿勢を鮮明にした。海外高級ブランド品は、売り場面積が2割以上減ったにもかかわらず、売上高は前年同月比10%以上増で推移しているといい、出足は順調だ。

 これに対し、大丸は11月に開業した心斎橋店北館の地階に設けた低価格の若者向け売り場が好調で、心斎橋店全体の11月の売上高が21か月ぶりに前年を上回った。近鉄阿倍野も9月に開業した割安スーツ売り場の今年1月までの販売が目標を3割上回り、低価格路線を再生戦略の柱に据える。

 りそな総合研究所の荒木秀之・主任研究員は「百貨店は業態自体が消費者のニーズに合わなくなっており、戦略を変える必要が出てきている」と指摘している。

2010年1月14日  読売新聞)

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