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政局展望 指導力を発揮できるか(1月6日付) | |||
今年の国内政治は、政権交代後初の国政選挙、夏の参院選が最大のヤマ場となる。歴史的な政権交代で誕生した鳩山政権が、その実績評価を受け、野党に転落した自民党は政権奪還への足掛かりを探る。ともに浮沈をかけた戦いになる。
民主党は参院での単独過半数獲得で政権基盤の安定を目指す。一方、自民党は参院第1党奪還を目標に掲げる。民主、社民、国民新の与党が過半数を維持できなければ「衆参ねじれ国会」となり、政権運営は一気に厳しくなる。18日にも召集される通常国会は、冒頭から激しい与野党攻防が展開されるだろう。
ただ参院選は本来、政権を争う選挙ではない。各党は批判合戦に終始するのではなく、昨年の総選挙マニフェスト(政権公約)を点検し、より明確な将来ビジョンを示して競い合ってもらいたい。
鳩山由紀夫首相は年頭の記者会見で「これからがスタート。国民のための政治をつくり上げる正念場の一年だ」と強調した。だが内政、外交とも難題が待ち受けている。
発足当初70%を超えた内閣支持率は昨年末に40%台に急落。予算編成や普天間飛行場問題の迷走で指導力不足を指摘されたためだ。社民、国民新との連立調整も難航した。新年も首相の指導力が問われる局面が続くだろう。
当面の課題は献金、景気、基地の「3K」。元公設秘書が在宅起訴された偽装献金事件で自民、公明両党は首相の辞任を要求し、小沢一郎民主党幹事長の政治資金問題も併せて追及を強める構えだ。国民は首相の説明に納得していない。巨額資金の使途など説明を尽くす必要がある。参院選前に支持率が一層低下すれば首相の退陣論が浮上する可能性も否定できない。
経済情勢も深刻だ。首相は会見で「景気が二番底になってはいけない」と強調。2009年度第2次補正予算案と10年度予算案の早期成立に全力を挙げる考えを示した。経済運営の手腕が問われる。参院選に向けてマニフェストの「工程表」も見直すが、財源を含め、実行可能な工程表を示せるか。公約修正には丁寧な説明も求められる。
普天間飛行場問題は、首相が期限を明言した5月が焦点となる。社民党との連立を維持しながら、沖縄県民、米国政府の理解を得られる解決策を見いだすには、難しい調整が迫られる。
首相の指導力不足が目立つのは、「実権」を小沢幹事長が握っていると多くの国民が感じているからでもある。「政策決定の内閣一元化」を確立できるのかも課題だ。
一方、党再生を目指す自民党の現状は厳しい。谷垣禎一総裁は年頭会見で、衆参同日選も視野に、内閣総辞職か衆院解散に追い込む決意を示した。だが国会議員の離党が相次ぎ、挙党態勢には程遠い。党の支持率は低迷、支持団体の自民党離れも進む。
24日の党大会で策定する新しい綱領で国民を引きつける新生・自民党の姿を示せるか。参院選で敗北すれば、谷垣総裁の進退問題につながる可能性も高い。
参院選は民主、自民両党にとって、互いに負けられない選挙になる。有権者の受け皿になりうる独自の政策を掲げ、真正面から論戦を戦わせてほしい。 (横尾 章) |
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