日米間で交わされた安全保障に絡む密約の調査が進むなか、米国などと比べて閉鎖的だった外交文書公開のあり方を是正しようとする動きが出てきた。
岡田克也外相が、作成後30年を経た外交文書を原則的に公開するとしている現在の制度を抜本的に見直す方針を固めた。
密約問題の解明をめぐって、外交文書公開の判断が官僚任せになってきた実態が明らかになり、批判が高まっている。情報公開の基準緩和など、国民の知る権利に応える改革を求める。
外交文書の公開はいま、外務省の外交記録審査室が判断し、官房長や局長ら幹部でつくる外交記録公開審査委員会が承認する仕組みになっている。
外交記録審査室は30年の基準を満たした文書を審査しているが、公開作業は進んでいない。同省の書庫には公開基準を満たした約4万もの文書類が手付かずのままになっているという。
一番の問題は、文書管理のはっきりしたルールがないため、保存や廃棄が事実上、担当部局に委ねられていることだ。政治的な思惑が入り込む余地が十分にある。都合の悪いことは国民に知らせないでおくこともできる。
事実、北方領土や竹島などの領土問題に関する資料や、密約が絡んでくる日米安保条約、沖縄返還に関する記録は非公開とされてきた。これらの問題に関係する文書は事務次官や担当局長、担当課が書庫に移さずに、それぞれ保管しているとされる。
国家間の交渉は秘密裏に行われる場合もある。だが、国の行方を決めるような重大な判断がどのようになされたか、その背景や経緯を国民が半永久的に知ることができないのは、民主主義の基本に反するものだ。
沖縄返還をめぐり日米間で密約が存在したかどうかが争われている裁判で昨年12月、証人に立った元外務省幹部の吉野文六氏も「日本も一定の時間が過ぎた後、誰もが外交文書の内容を研究できるような制度を採用した方がいい」と指摘している。
見直しに当たっては、文書管理のあいまいさをなくし、30年の公開基準を短くすることなどが検討課題になるだろう。情報公開の運用に目を光らせる機関の設置も必要だ。国民の立場に立った改革を早急に進めるべきだ。
公開見直しは、外務省だけでなく、ほかの省庁にも当てはまる課題である。情報は国民の財産であることを忘れてはならない。