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日航の法的整理 440億円の国民負担が発生

2010年1月16日3時2分

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 日本航空の法的整理に伴い、約440億円の国民負担が発生する見通しとなった。官民による再生ファンド「企業再生支援機構」は15日までに日航と取引のある金融機関に対し一律83%について、債権放棄を柱とする金融支援を求めた。この中に政府保証がついた融資も含まれており、焦げ付きは税金で埋めることになる。

 15日には前原誠司国土交通相が鳩山由紀夫首相に、機構が19日に支援決定する方針であることを報告した。鳩山首相も了承した。日航は同日に会社更生法の適用を申請し、その直後に機構が支援決定する見通し。政府も同時に支援方針を表明する。

 金融機関は担保保全されていない融資の一律83%の債権放棄を求められることが固まった。日航の再建計画によると、債権放棄の総額は計3580億円になる。対象には、国の「危機対応業務」に基づく融資(総額670億円)が含まれている。昨年6月に日本政策投資銀行が実施したもので、8割の政府保証がついている。

 日航への債権の放棄に伴い、国は日本政策金融公庫を通じて政投銀に約440億円を損失補償することになる。公庫の資金は国の予算が使われており、政府保証してわずか半年あまりで国民の税金が損なわれることになる。

 政投銀が求められている金融支援額は総額1471億円。損失補償を差し引いても1千億円を超える借金を棒引きしなければならない。国際協力銀行も民間金融機関の日航向け融資を保証している。今後、これら政府系金融機関の財務が大きく悪化すれば、国民の税金で埋め合わせる必要が生じ、その場合は国民負担はさらに膨らむ。

 1990年代以降の金融危機で、政府は「金融システム維持」のため金融機関に計47兆円の公的資金を注入し、10兆円近い国民負担というツケを残した。ただ、事業会社で巨額の国民負担が発生するのは異例のことだ。(堀口元)

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