掲載日: 2006年 03月 20日
なぜ? 「ブレーキ」を忘れた少年たち!
こんなにある! 少年による尊属殺人
子どもは誰しも、大なり小なり「悪さ」をしながら大きくなるもの。頭のてっぺんから靴のつま先まで「品行方正」一色!の子どもなんて、まずいません。あなたにも「悪さ」をして親に叱られたニガ〜イ経験がありますネ! また、トシゴロになれば「反抗期」を迎えるのもごく自然。「ちょっと親を困らせてみたい」と、マブダチとツルんで何やら良からぬことを……今思えば、若気の至り!でも、「悪さ」や「反抗」にも限度というものがあります。ここまでは許されるけど、ここから先はご法度!という線引きが必要。その境界線を越えずに「ブレーキ」をかけるテクニックを、周囲の大人に叱られながら学んでいく……というのが世の常識だったはずが、最近ではどうも様子が違うよう。
警察庁公表の「少年非行等の概要(平成17年1〜12月)」を見ると、「ブレーキ」がきかないまま殺人事件に発展した少年事件がズラリ。それも、被害者は大切なはずの家族! 2005年に検挙(警察などが犯人を特定する)された刑法犯少年の数は、2年連続で減少しましたが、殺人で検挙された少年は67人と昨年より 10人増加しています。その中で、尊属殺人(※)や、兄弟姉妹に凶器を向けるケースがこんなに……(未遂も含む)。
※ 自分または配偶者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母など)を殺すこと
| ※未遂事件も含む 警察庁公表資料より作成 |
凶器を向けた相手は家族! 一体、なんでそんなことになったの?
上の表のうち、いくつかの事件のいきさつに迫ってみると……■兵庫県の実父殺人未遂(3月)…… 交際中の中学生2人が、交際に反対していた少女の父親を自宅マンションの階段から突き落とし、電気コードで首を絞めた!
■福岡県の実兄殺人(6月)…… 男子中学生が兄弟げんかの末、自宅マンションで17歳の兄の腹等を包丁で刺し、別の住民の一室に逃げ込んだ兄を追いかけ、さらに包丁で刺して殺害!
■長崎県の実妹殺人未遂(6月)…… 男子中学生は、学校の先生に注意されたため、「このままでは、パパやママに叱られる。家出しよう!」と自宅で用意をしていたところ、11歳の妹に見つかった。口封じのため木製バットで妹の頭や顔を殴り、頭蓋骨骨折等の大ケガをさせた!
■兵庫県の実父殺人未遂(9月)…… 男子中学生は、夏休みの宿題をしていないことで父親に叱られたため、寝ていた父親の首を出刃包丁で突き刺し、ケガをさせた!
「男女交際を反対されて」「兄弟げんかのはてに」「勉強のことで叱られて」など、一見たわいもない理由がオソロシイ殺人事件にエスカレートするのはなぜ? 「子どもは大人の背中を見て育つ」と言いますが、私たち大人の「背中」に問題があるのか……?
最近の少年殺人の背景には、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の線引きをきちんと指導しきれない大人社会の問題が、映し出されているのかもしれません。
【関連サイト】
●All Aboutのサイト
・ All About「子供の安全・防犯」
・こころの病気(精神科の病気)(All About 「家庭の医学」)
・子供・中高年・高齢者とストレス(All About「ストレス」)
・個室の与え方・使わせ方に気を配ろう(All About「家を建てる」)
・一生消えない?トラウマの原因は親にある!(All About「離婚」)
・階段は子供の心を表す打楽器だ! 「家相・風水」(All About「家相・風水」)
・児童虐待問題について(All About「介護・福祉の仕事」)
●その他のサイト
・Yahoo!ニュース - 少年犯罪
・少年非行等の概要、平成17年1〜12月(「警察庁」サイト)
・少年犯罪の心理(「心理学総合案内 こころの散歩道」サイト)
・社団法人 全国少年補導員協会