【ソウル西脇真一】北朝鮮が昨年発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が、98年発射の「1号」に比べ、推進力が約8倍に向上したとみられることが、日置幸介・北海道大教授(測地学)らの研究で分かった。人工衛星を使ったGPS(全地球測位システム)のデータを解析した。日置教授は「北朝鮮のミサイル技術が着実にレベルアップしていることが裏付けられた」と話している。
昨年12月に米国サンフランシスコであった米地球物理学連合の秋季大会で発表した。日置教授らはエンジンの排気に含まれる水蒸気が電離層の電子を消失させる点に着目。日本に1000カ所以上あるGPS観測局のデータを解析、電離層に穴が開いたテポドン2号の航跡をとらえた。防衛省の発表によると、テポドン2号とみられるミサイルは、昨年4月5日午前11時半に北朝鮮から発射。解析では、6分後に高度265キロに到達した1段目の上昇速度は、日本のH2Aロケットに見劣りしない。また、電離層における電子減少率の比較から、1号に比べ2号はエンジンの推進力が8倍だったとみられる。
毎日新聞 2010年1月15日 東京朝刊