合同自主トレに参加し、軽快な動きを見せる森野(手前)=ナゴヤ球場で(谷沢昇司撮影)
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中日の選手会主催の合同自主トレが15日、ナゴヤ球場で始まった。全国各地でオフを過ごしていた41選手が集結、軽快に体を動かした。新選手会長に就任した森野将彦内野手(31)は3人の副会長とともに早速球団側とファンサービスについて意見交換。選手全員で知恵を出し合う“森野色”を打ち出す新体制がいよいよ動きだした。
真冬のナゴヤ球場に熱気が戻ってきた。グラウンドのあちらこちらで再会を喜び合う選手たち。V奪回を懸けた新シーズンへ、竜が動き始めた。その中心にいた選手会長の森野は初日から精力的に動いた。グラウンドで声を張り上げて練習を盛り上げると、休む間もなく合宿所「昇竜館」で球団側との会議に出席。初日からフル回転となった。
この場では“森野イズム”が前面に押し出された。ファンサービスについて球団営業部と行った話し合い。森野は英智、藤井、吉見の3人の副会長を同席させた。これまでは会長が全選手を代表して球団側と折衝するのが通例。4人が一度に出席するのは異例だ。
森野は「今まで副会長をやっていたけど話し合いに出たことはない。『余計な時間を取らせない』と配慮していただいたのかもしれない」と前置きしたうえで、「ボクのやり方は違う。一人で閉じこもらないで、協力し合うのがボクの“色”。意見をぶつけ合わないと会議にもならないでしょう」と強調した。全員の力でチームをもり立てるのが“施政方針”だ。1時間以上に及んだ会議では、森野の思惑通りに活発な意見が飛び交ったという。
▼ナゴヤドームの来場者に趣向を凝らしたプレゼントを 他球団でも例がないような珍しいグッズなどを用意できないか
▼ヒーローインタビューの改革 「勝ったときくらい何かできないか」と森野。決まり切った受け答えではなく、ファンを楽しませ、一緒に盛り上がってそれが力になるような内容に
▼ファンからサービスの意見を公募し、1カ月に1度くらいは採用 森野が11月の選手会納会の際に提案した“目安箱”を実現したい
こんな感じで具体的なプランが続々と出され、検討された。
正式決定はまだ先になるが、森野は「こういう形の話し合いをどんどん続けていきたい。『観客が減っている』と言われると寂しいですし、『また来たい』と思わせるようにしたい」と意欲的に話した。今後は選手と球団の両者が知恵を出し合い、昨季の観客減からV字回復する道を模索する。
もちろん新選手会長としてグラウンドでもナインをけん引する決意だ。自主トレの冒頭、「大人の自覚を持ち、社会人としてやるように」と若手に訓示した。「引っ張っていくという強い気持ちを持っている」と森野。練習に次ぐ練習でプロ10年目にレギュラーをつかんだ男が、率先して若手の見本になる。
強力なリーダーシップのもとに船出したドラゴンズ。グラウンド内外での森野の奮闘が、新鮮な活気と強さを呼びこみそうだ。
◆吉見は岡田の“愛”受け入れる
副会長は“愛”を受け入れる。投手陣に練習メニューの指示などを出したのが、今年から選手会副会長に就任した吉見一起投手(25)だった。
この初々しいサブリーダーの姿にドラフト1位ルーキー・岡田俊哉投手(18)=智弁和歌山高=が目を奪われた。「きょうは強化メニューの時に吉見さんと同じ組でした。それだけでうれしかったです」
男同士でも、どうしても視線が向く。「やっぱり違います。オーラがあります」。セ・リーグ最多勝右腕が醸し出す独特の存在感なのか。
生の投球にもほれぼれした。13日に初めて吉見のキャッチボールを見た岡田は「すごくいい回転のボールでした。やっぱり違います。やわらかいです」と、感激した。
吉見は岡田の思いを理解する。「ボクも入った時はすごいと思う人を見てました。川上さんを見て、マジすごいと思いました」と、新人時代を振り返った。「ボクは自分からは言いません。言っておかしくなったらいけないので。聞かれたら教えたい」。後輩の弟子入りも許すという。
屋内のブルペンで投げれば、また新人たちの視線を集めそうだが、こちらは「ブルペンには絶対に入りません」と宣言。沖縄入りまでは本格的な投球は控える。マイペースを守りながら、後輩の思いも受け入れる。 (生駒泰大)
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