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【社説】

石川議員逮捕 重くなる小沢氏の責任

2010年1月16日

 ついに現職の国会議員の逮捕にまで発展した。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件は、小沢氏自身の関与が大きな焦点となろう。もう説明逃れは許されない。

 東京地検に逮捕されたのは、小沢氏の側近ばかりである。石川知裕容疑者は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の事務担当だった。当初は検察当局で、在宅起訴する方針が検討されていただけに、強制捜査には驚きが広がった。

 事件の舞台となったのは、陸山会が二〇〇四年に購入した東京都世田谷区の土地だ。この売買には当初、金融機関からの借入金が充てられたと、小沢氏側は説明していた。それは虚偽だった疑いが、捜査が進むにつれ濃厚になった。

 石川容疑者自身が地検の事情聴取で「小沢氏から四億円を借りた」と説明したうえ、それを政治資金収支報告書に記載しなかったと認めたからだ。

 政治資金規正法の第一条には「政治活動の公明と公正を確保」するという目的が明確に記されている。一連の疑惑が事実ならば、石川容疑者らの「虚偽記載」は、まさに法を逸脱するものだ。

 小沢氏は自らの政治資金については、従来「法律に従い、きちんと処理し、報告している」と胸を張ってきた。十二日に開かれた記者会見でも「意図的に法律に反するような行為はしていないと信じている」と、疑惑の声を振り払ってきた。

 東京地検から要請された、参考人としての事情聴取をも拒んだことが、側近逮捕につながったとみられるだけに、もはや従来のあいまいな弁明ではすまされない。早急に記者会見を開き、正面から真実を語るべきだ。

 今後は小沢氏自身が事件にどう関与したのかが焦点となる。四億円の原資には、ゼネコンからの「闇献金」が含まれているとみられているだけに、ゼネコンとの関係の“深度”も注目点となる。

 政治責任がいっそう厳しく問われるのは不可避だ。十八日からの国会では、集中的に野党からの追及を受け、揺さぶられるだろう。幹事長辞任を求める声が党内から出ることも予想される。

 鳩山由紀夫首相の偽装献金事件も抱えるだけに、新政権が受ける政治的ダメージは計り知れない。「政治とカネ」の問題は、長く政界の“宿題”だった。政権交代しても、汚濁がまとわりつくなら、国民の政治不信も高まろう。

 

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