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17日 県内の天気(16日17時更新)

社説

給油活動終了 アフガン安定へ全力で 1月16日(土)

 インド洋での海上自衛隊による給油活動が終了した。昨年発足した民主党政権の方針に沿って、派遣の根拠となっていた改正新テロ対策特措法は16日午前0時で期限切れを迎えた。

 2001年9月の米中枢同時テロを受け、小泉政権下で急きょ決まった海自派遣である。日本は、テロとの戦いを主導する米国への協力を最優先させてきた。

 活動は一時中断をはさんで約8年間に及ぶ。自衛隊初の「戦時下」派遣だったけれど、国会で十分に論議されたとは言い難い。

 北沢俊美防衛相は、海自艦船に撤収命令を出した。給油へのニーズも低くなったいま、幕を引く判断は妥当である。

 これまでの給油活動は939回を数える。合わせて約52万キロリットルを米国やパキスタンの艦船などに無償で提供してきた。

 テロリストの移動や武器、麻薬の密輸などを海上で阻止する活動を支援した。米国などから高い評価を受けた。

 一方で、さまざまな問題を抱えてもきた。最たるものが、憲法で禁じられている集団的自衛権の行使にかかわる点である。

 特措法は期限が来るたび、なし崩し的に改正され、延長されてきた。現行法は衆参ねじれ状態だった08年に衆院再可決で成立し、国会の事後承認さえ不要にした。国民の目は届きにくくなった。

 補給した燃料が、米国の対イラク作戦に転用されたのではないかとの疑惑も持ち上がった。テロ根絶にどれだけ役に立ったか、きちんと総括する必要がある。

 民主党政権は軍事的なかかわりを絶ち、アフガニスタンへの民生支援に全力を挙げる考えだ。

 国土の多くは山岳地帯である。治安は悪化し、戦禍と干ばつによる食料危機は深刻だ。テロの温床といわれる貧困をどう解消するかが重要になる。

 日本はすでに、5年間で50億ドル(約4500億円)規模の民生支援を表明している。治安強化に向けた警察官の支援や元兵士の職業訓練などに力を入れるという。

 国際協力機構(JICA)を中心としたスタッフが実務を担う。JICAアフガン事務所長として、佐久市出身の花里信彦さんが赴任した。政府はJICAやNGOメンバーの安全を確保しながら、学校建設や農業振興などの活動を進めてもらいたい。

 カルザイ政権に汚職がはびこっている。人々に支援が行き渡るよう、腰を据えた取り組みが日本に求められている。

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