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社説2 石川議員逮捕は小沢氏に責任(1/16)

 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り東京地検特捜部は、政治資金規正法違反容疑で陸山会の会計担当者だった石川知裕衆院議員らを逮捕した。

 土地購入資金の流れを解明するのに欠かせない参考人聴取に小沢氏が応じないために、関係者の逮捕に踏み切ったとみられる。検察と政治の関係を不必要なまでに緊張させ、異様な事態に立ち至らせた小沢氏の責任は極めて重大といえる。

 小沢氏は政権与党第一の実力者である。検察への有形無形の圧力を否定できなかったのが政界捜査の歴史だ。今また小沢氏がその権力を用いて検察の捜査に介入するようなことがあってはならない。

 一方で検察も、法と証拠に基づき厳正で、何より公平な捜査を遂げなければならない。そうしなければ国民が選んだ政権との微妙な距離感を見失う恐れがある。被疑者の人権を守りつつ真相を解明するという基本を踏まえ、果敢な捜査を徹底することが求められよう。

 検察は陸山会が東京都世田谷区で購入した宅地の取引に絡み、原資となった約4億円の資金の流れを捜査してきた。

 陸山会の政治資金収支報告書の記載は虚偽で、実は、購入原資は小沢氏の「個人の資金」だったと石川議員はこれまでの任意の事情聴取で明らかにしたもようだ。

 しかし検察は、単なる虚偽記載にとどまらない悪質な規正法違反があったとみている。小沢氏の地元で国が建設中のダムの受注を巡り、ゼネコン側からヤミ献金が小沢氏側に入り、それが購入資金の一部になった疑いをもっているのだ。

 小沢氏は、公設第1秘書が規正法違反に問われ裁判が始まった西松建設の巨額献金事件でも、十分な説明をしてこなかった。

 自民党など野党は18日召集の通常国会で小沢氏本人や関係者の参考人招致を求め、一連の疑惑を厳しく追及していく方針だ。

 鳩山由紀夫首相をはじめ民主党の幹部はこれまで説明責任を果たそうとしない小沢氏を擁護する姿勢をとってきた。所属議員の逮捕という事態を受けて、どう自浄能力を発揮するのかが問われている。

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