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社説2 インド洋給油の早期再開を(1/15)

 海上自衛隊によるインド洋での給油活動が、根拠となる補給支援特別措置法の期限切れに伴って15日に終わる。給油活動を「延長しない」ではなく、「単純延長はしない」と言い続けた岡田克也外相の発言を信じれば、いったん期限が切れたからこそ、鳩山政権が改めて再開を考える時となる。

 インド洋での給油活動は、2001年9月11日の米同時テロをきっかけに始まった。根拠法の期限切れによって一時的に撤収したことはあるが、01年から現在までほぼ8年間活動をしてきた。

 戦闘活動に巻き込まれる事態はなく、戦闘による犠牲者もなく、活動を終えられるのは、きわめて幸いである。猛暑のなかでの危険な作業に取り組んできた自衛官たちに敬意を表したい。

 私たちは、給油活動の継続をかねて求めてきた。アフガニスタンでの戦いは、国際的協調のもとでの取り組みであり、日本の給油に対する国際的評価は高かったからだ。

 北大西洋条約機構(NATO)諸国は、アフガニスタン本土で多くの兵士の命を犠牲にしながら、耐えているのが現状である。給油は日本の憲法の制約のもとで果たしうる効率的な活動だった。

 そこからの離脱は、外交的に飾った言葉を抜きにすれば、国際協調活動からの戦線離脱と映る。しかし鳩山政権は09年11月にアフガニスタンに対する5年間50億ドルの民生支援を決めて以来、給油をめぐる議論をやめ、ただ15日の期限切れを待つだけにみえた。

 野党時代の民主党が内政の論理で給油に反対した点には、一定の理解はできる。政権をとれば、揮発油税の暫定税率問題で見せたように、別の観点からの考慮もありうるのだろう。残念ながら、鳩山政権には、その気配も感じられない。

 オバマ米大統領は、選挙中にイラク戦争に反対したが、政権をとり、軍の最高司令官になってイラクを訪問した。クリントン国務長官もイラクを訪れた。鳩山政権では首相、外相、防衛相のだれひとり、給油の現場を見なかった。思考停止の現状に終止符を打ち、給油再開に向けた検討を始めてほしい。

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