小沢、辞任必至か「もうかばいきれない」身内から不満爆発

2010.01.16


北海道帯広市の石川事務所では、不安そうにニュースを見つめる関係者の姿が鏡越しに見えた=15日午後【拡大】

 民主党の小沢一郎幹事長の元秘書で衆院議員の、石川知裕容疑者らが東京地検特捜部に逮捕されたことで、民主党内で小沢氏の幹事長辞任論が広がっている。議員辞職を求める声まであり、政界の最高権力者の足元は大揺れだ。

 民主党の渡部恒三元衆院副議長は15日、記者団に「捜査の結果によっては堂々たる決断をしてもらいたい」と述べ、特捜部の捜査の進展次第では、幹事長を辞任すべきだとの考えを示した。時期については「自らが決めることだ。国民のために頑張るという判断も、潔白でも予算を通すために潔く身を引く判断もある」と述べた。

 政府側からも、まずは幹事長辞任を促す声が出た。副大臣の1人は「検察の最終ゴールは小沢氏なのは間違いない。もうかばいきれない。政権へのダメージを考えれば、辞めざるを得ない」と語った。

 一方、若手の村越祐民衆院議員(千葉5区)は「複数の秘書が逮捕されたのだから、小沢氏は議員を辞職すべきだ」と議員辞職まで踏み込んだ。

 渡部氏が「言論の自由、結社の自由もない、徳川時代よりもっと昔に戻った話」と表現したように、民主党は小沢氏による中央集権が進み、萎縮する議員が多かった。それが、石川容疑者の逮捕により、一気に噴き出した形だ。

 若手議員は「小沢氏が辞めれば、閣僚や議員らが伸び伸びと活躍でき、内閣や政党支持率は上がるのでは」と話した。

 党内には選挙や予算編成の瀬戸際で重しとなってきた小沢氏が退けば、夏の参院選を前に党の結束が弱まりかねないと懸念する声もあるが、小沢氏と距離を置くベテラン議員は「明日、(小沢氏が)辞めたとしても幹事長をやれる人間は10人はいる」と述べた。

 野党側は今回の逮捕を受け、小沢氏の国会への招致要求をさらに強めるとみられる。自民党の川崎二郎国対委員長は「政治とカネに特化した審議をしないと予算審議には入れない」と述べており、与野党の攻防激化は必至。与党主導の国会運営ができるか不透明で、政府・与党が早期成立を目指す2009年度補正予算案や10年度予算案の審議混乱も予測される。

 政治評論家の森田実氏は「民主党は脱小沢で新体制をつくるしかないが、その勇気と力があるかは心もとない。機能不全に陥り、親小沢派と反小沢派への分裂もありうる。参院選での勝利はまずなくなった」と話している。