解説:故みのり書房発行昭和52年9月1日号です。
ヤマトわあるどPARTIIと銘打った宇宙戦艦ヤマト特集第2弾が掲載されています。6月号の第1弾には及びませんが半分のボリュームで30ページを割いて特集を組んでいます。最下段右画像は巻頭の「嗚呼!麗しの美少年」は6月号巻頭の「嗚呼!麗しの美少女」へのカウンター企画になっています。女性読者の・・・悪乗りリクエストがあったのでしょう。(しかしでかでかと呼びかけられている”ですらー姫”とか”智くん”って誰なんでしょう?多分7月号・8月号の投稿者名だと思うんですが・・)
特集のトップを飾るのは8月6日に公開迫った劇場版宇宙戦艦ヤマトを記念して、13ページを割き企画書内容を駆使してTVシリーズがいかにして製作されたかをトレースする記事が掲載されています。これは当時結構衝撃的な記事で、この号を所有していた周辺のファンは物知り顔していました。(懐)
この号の白眉は石黒昇さんへのインタビュー記事です。他では語られなかった新事実が氏の口から語られています。ポイントをまとめておきます。
・石黒昇氏が松本零士氏と同年生まれで雑誌”漫画少年”に投稿していた漫画家志望で17歳に鶴書房なる出版社から単行本「宇宙の放浪者」でデビューしていたこと。
・1カットに丸一日の時間と30万円を投入したオプチカル合成撮影のこと、演出へのこだわりからアニメーターぶち切れ(笑)鬼のリテイクを出し当初の倍の予算を浪費(?)して怒られたこと。
・シナリオに途中参加された山本暎一氏が「人物の色もっとよく出したい」と人間ドラマ中心にシフトしていったこと。視聴率低迷と制作費がかさむため3クール→2クールに短縮された際、デスラー総統とドメル将軍の人間関係、ヒス副総統の謀反などのエピソードが端折られてしまったこと。
・端折られたエピソードのひとつ”真田の反乱”を山本暎一氏が”徳川の反乱”に間違えてシナリオを書いていたことが明かされています。本編で前半第一艦橋にいた徳川機関長が後半から機関室に持ち場を移していたことのは反乱の伏線であったこと。藪機関士が焚きつけたり第17話絵コンテに『俺は徳川さんを艦長に推薦する』という藪機関士の不可解なセリフが存在すること、この伏線につっこみをいれた際、山本氏は「あっ、僕勘違いしてた、真田だったっけなあ」(笑)・・・・・放映短縮がなく石黒氏他スタッフが気付かなければ危うく徳川機関長ご乱心の一幕というあっと驚く展開があったわけです。(ひょっとして徳川の爺さんが森雪をさらって脱走とか・・・あぁクワバラクワバラ)
特集記事中の悪乗り企画の極めつけは「あなたにもできるヤマトファッション」です。ヤマト登場人物のヘアースタイルにするための注文の仕方が無責任に(?)掲載されており、現代のコスチュームプレイのはしりになるような森雪コスチュームの型紙が・・・載っています。
悪ふざけ極まれりのでっち上げ広告企画YABU's
RUN
■77年を代表するSFアバンチュール・スペクタクル超大作−と銘打って架空のパロディストーリー広告を掲載しています。6月号に続いて企画・記事とも実に反古代に傾倒していて・・・なんか引きつった笑いを誘う内容ですが共感してしまいます。
中段左画像と中段右画像参照
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この数年、全日本を席巻したトリトンアニメ、ガッチャマンアニメがようやくそのブームに一段落を見せた74年、アオデミーではSFアニメの新たなるブームとしてSFアニメを企画した。この「ヤブズラン」はそれらの中でもオリジナリティーがないストーリーとSFを最も不得意とするスタッフが現実性を駆使して完成させた365日間を生きる人々とその艦内状況を描いた興味つきる怪作である。 |
見るかげもなく荒廃した地球の一角で改造されたアニメカラーに輝くヤマトの中で、人々は地球に残した社会の良否も人々のようすも知らず旅を続けた。この旅はコスモクリーナーのみ求め、それに終わる。といってもその期間は365日と限定されている。僅か365日・・・・・。しかも365日以前にも、ヤマトに乗り込んだ人々は冷酷な艦長代理の命令のもとガミラスとの闘いにおいやられ、跡形もなく消滅させられる。この死の命令から逃れようとするものは反逆者と呼ばれる。この反逆者を追跡するのは艦長代理ファンの投書である。
映画は反逆者を追う投書の山にもめげず機関員であったヤブが、ある日、自分自身にも死の命令が下ることに気付き、365日の向こうにある人生を求め艦長代理に洗脳されたユキを伴い反逆し、ついには艦長代理に命令されない自由と、ユキを愛する心をイスカンダルの地に発見する迄を、それは見事な未来社会のメカニックの中に描いた人類の管理社会への警告とも言える映画である。
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巻末には素人顔負け超ド下手パロディ漫画「古代君気をつけて!」が掲載されています。そういえば昔、少年ジャンプに連載されていた「すすめ!パイレーツ」にパロディネタで登場した”議題進”と”なりゆき”のカップルは見事な落としネタで腹筋を鍛えてもらったのを思い出しました。
裏表紙はクラシックSFと掛け合わせた宇宙戦艦ヤマト描き起こしイラストになっています。。
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