6m AND DOWN 2000参加記 (Oct.
05, '00)
2000年7月1日〜2日の両日に開催された6m and downコンテスト(以下6&Dコンテスト)には、幸いながらC50部門にフル参加できた。本稿は、このコンテストの参加記である。今回は初めて出力200Wを越えるHクラスで参加したが、とにかく電離層領域の電波伝搬が良好で、Esやスキャッタなどをフルに活用できた。昨年の参加記についてはホームぺージで参照されたい。まだ部分的に未完成なので、おいおい加筆修正していく。
98年の6&Dコンテストの結果に関して、黙って覗いていた某MLで「やった、BMJに勝った」との発言が見られた。その影響も「ちょっとだけ」あって、1999年の6&Dにフル参加したことは昨年の参加記で述べた。
JARL主催の4大コンテストには、フィールドデーを除き、毎回なるべくフル参加するように努力しているが、明け方になると寝てしまうパターンが多かった。2000年のALL
JAも6時間くらい寝ている。6&Dに関しては前年はフル参加したこともあり、今年も頑張るつもりでいた。
6&Dの開催日は7月第一週の週末と決まっている。6月下旬の夏至の時期、北半球で日照量が一番大きくなる時期、なをかつ今回は太陽活動の最盛期、既に6月からW、KL7、VEなどが入感しており、夏のコンディションの盛り上がりを感じさせている時期である。「今年の6&Dも相当にコンディションが良さそうだ」と言うのが私の予想であり、そして耳にした範囲内の大方の予想でもあった。
ちなみにこの夏至前後の時期の北米/ヨーロッパへのパスは、従来Esのマルチホップと言われていたが、私はF2が関連していると考えている。
昨年、99年の6&Dも、典型的なEs、スキャッタ、トロッポなどでマルチ取り放題、QSOし放題のコンディションであり、そのため、北海道のJO1DFG/8
(589×54 = 31806点) および九州のJR6EZE (523×58 = 30334点)に負けた。
私のような1エリアから自宅参加の局が勝つには、コンディションは「そこそこに悪い」ことも必要である。すなわち、夜中にFAIなどの微弱な伝搬がそこそこに出て、大きなビームアンテナを活用してFAI、トロッポなどで何とかマルチを伸ばし、後は大票田のJA1エリアと交信して局数を伸ばす。
こういうこじんまりとしたコンディションであれば、タワーに上げた、それなりに大きなアンテナと低NFの受信系がものを言う。
コンディションが良過ぎる場合、マルチは北海道、JD1などの一部を除いてほとんど埋まり、C50のマルチ数は50台の後半、局数は500局を越えなければ勝てなくなり、こうなるとEsの恩恵をフルに利用できる北海道・九州勢が勝つことになる。昨年のコンディションに関しては詳細を書いたが、局数は430局を越えてマルチも57マルチを取って、それでも勝てない。
今年の6&Dも、このようなコンディションを予想していた。今回も自宅参加であるが、なんとか地方の有力な局に太刀打ちするために以下のような対策を行なった。
1. アンテナは30m高のスタック八木とヘンテナの2系統とし、微弱な信号に呼ばれた場合、あるいはQRMなどがある場合、なるべくアンテナを回転させずに素早く対応させる。これは昨年と同じであるが、実際、便利である。切り替えによって、弱い局の半数以上は何とか拾えるようになる。
2. スタック八木では垂直面内のパターンが水平方向に鋭くなることによってゲインが発生、かつ受信時のS/N比が向上するのだが、このため、近距離Esなどの打ち上げ角度の高い伝搬には適合しないこともある。これに対応するため、今年のEsシーズンが始まる4月以前に、以前から実験していたスタック/シングルの切替え装置の後継機を製作、マストに取り付けた。これは1のヘンテナと相まって、ある程度の効果が見られた。シングルは上だけ/下だけの切り替えもできる。
3. これまではMクラスで参加していたが、今回からはHクラスの参加とし、送信出力を免許上限の最大1kWまで増加させる。このため、ナンバーは59912Hとする。これで従来よりもサービスエリアが広がるだろう。
4. その他
【コンテスト直前】
7月1日(土)は梅雨の晴れ間でかんかん照り。
通常は前日、なるべく夜更かしして当日は昼まで寝るのであるが、月末締めの仕事も終わり、疲れが溜まっていたのだろう、金曜の夜は夕食を食べたら急に眠くなり、翌朝までぐっすり寝てしまった。1日の朝、目が醒めたら朝8時。貧乏性のせいか、朝から溜まっていた家事を開始してしまう。この日の気温は千葉で33℃に達したらしい。屋外で作業していたため、腕と顔は真っ赤に焼け、頭痛がする。熱中症にならないよう、時折休憩し水を大量に飲む。
昼からはシャワーを浴びてビールでも飲んで昼寝をしよう、と思っていたのが、作業に手間取り、16時頃まで掛かってしまう。それから落成検査を控えたローカルの家へ行き、インターフェアの対策を手伝う。21MHzの5倍高調波による3chの障害が取れないとのこと。それを一段落し、コンテスト用のおにぎり、サンドイッチ、飲み物などを買い、帰宅したのが19時過ぎ。
懸案事項がいくつも完了し、普段の休日ならば「大変FB、夜はビールを飲んでグッスリ」であるが、これからコンテストにフル参加する当日としては活躍しすぎである。
シャワーを浴び、夕食を食べ、シャックに入ったのが2020時頃。
あまり焦らないように気持ちを落ち着けながら、いつも通り同軸リレーを増設し、八木とヘンテナの切り替えをセッティングする。リグの前を片づけ、パソコンを持って来る。
今回は特に目立ったトラブルもなかったので開始10分前には概ね設定が終わる。しかし炎天下で作業をしたせいで、まだ体が火照り、頭が痛い。この状態で完全徹夜できるか? 唯一の救いは6&Dが24時間ではなく、日曜の15時で終了することくらいだろう。
【21時-0時】
さて21時から開始。89.7kHz付近でCQを出す。早速JE2HVC/2が呼んできてくれる。しばらく1エリアが続く中、広島のJH4IUO、長野のJH0MHEその他馴染みの局が呼んでくれる。
スタートダッシュは、21-22時の1時間で50局。22-23時の1時間で50局、23-0時の1時間で49局。一時間平均50局であり、さほど良くも悪くもない。
22時台になって、FAIで愛媛のJH5FIS/5、山口のJA5GJN/4、福岡のJH6EYLなどが呼んでくれるが、まだ信号は弱い。22時台後半からはFAIも強くなり、高知のJA5FFJも呼んでくれる。九州方面はEsによる屈折で強力に入感、セカントの法則の条件が外れるとFAIで入感する。
去年はこの時間帯、北海道の一部が入感していた。CQの合間にアンテナを切り替えて北方面を警戒するも、特にそれらしい局は見つからない。
21-0時の3時間は以下のマルチが取れた。昨年に比べて少ない。Es/FAIによる入感がやや偏ったことが原因と思われる。
06 07 09 10 11 12 13 14 15 16 18 19 20 21 23 25 27 28 30
31 33 35 37 38 39 40 42 43 44 45
【0時-3時】
日付が変わった0時からの1時間の交信局数は37局。1時台は31局、2時台は18局と減少していく。それでも西日本、東北、関西、その他、まんべんなくQSOできる。例年、QSOできるJA7KPI/7も呼んできてくれて無事04が埋まる。
ところが、2時台の終わりになって89.6kHz付近でCQを出していた所、埼玉のJK1Z□□/1と言うクラブ局が私とほぼ同じ周波数(大体-50Hzくらいの所)でイキナリCQを出してくる。私はビームで切ってCQを出し、呼んできた局も拾えるのだが、このクラブ局は私がCQを出すと受信不能になるようだ。実際、1時間近く邪魔していたが、ほとんどQSOできていないはずである。自分が損をするのに、なぜこういう行動に出るのか不思議である。そう思いながら、八木を埼玉方向に振ってHレベルのパワーで、メッセージを自動的に反復送出しながら夜食を食べる。
コールブックで調べると、今は社名が変わってしまったIT関連の会社のクラブ局。OPは余程ストレスでも溜まっているのか(笑)。まあいい。火が点くまでは時間が掛かるが、一旦燃え出すとしつこいのが私の信条である。OPが誰なのか、何の目的なのか、いずれ判明するだろう。
移動の雄、JH8KYUの堤君が言った「QRMやカブリ、バトル、ジャミングもコンテストのうち。それらに勝つのがコンテスト」と言う言葉を思い出し、このバカチンを無視して自動CQを出す。CQを出しながら、サブ受信機で未交信の局を探す。こういう場合もサブアンテナに切り替えることが役立つ。
開始から3時までの6時間で、結局234局とQSOできる。1時間平均40局弱であった。
【3時-6時】
3時台の交信局数は10局、4時台は18局、5時台は13局である。この時間帯には、いよいよ前日に昼寝をしなかったことが原因の眠気に襲われる。コーヒーを飲む。ふと思いついて買ったFriskを食べる。Friskは"Sharpens
you up"と宣伝しているだけあって、舐めるだけでなく、噛み砕くと強烈な刺激で一時的に目が醒める。
明け方の7エリア、8エリアへのトロッポを狙って八木を北に振る。八木のメインローブ方向以外はヘンテナで対応する。JA4OEY/1の佐々木君など、C50の常連もバンド内でずっと聞こえている。ここらが踏ん張り所だろう。4時台にJR8OGB/8が呼んでくれて、103が埋まる。
移動参加でロケーションの良い所で八木を二本用意し、片方を例えば東へ、片方を西へ、と言う方法もポピュラーである。ただ、私の所でこれをやると単純に二方向だけしか取れなくなる恐れがある。すなわち、この方式はロケの良い山の上で、ローブの広い5エレ程度の八木でやることが効果的である。
JH8KYUの堤君と話しているとき、ゲインが大きく、かつ無指向性で、地上高が高いアンテナにハイパワーで給電して集局し、弱い局はビームを向けて拾う、こういうシステムが理想的だ、との考えにたどり着いた。ただ、平地の自宅参加の場合、マストトップに上げてもせいぜい35mH(海抜で60mそこそこ)くらいだから、山の移動にはかなわないかも知れない。しかし6&Dはパワー別の部門がないので、移動局と比較して+10dB以上のパワーを出すことができるのは自宅組のメリットだろう。
現在はDX向けのアンテナに、わずかにヘンテナを増設したに留まっているが、メインとしてせいぜい6エレ八木のスタックにし、ローブを緩やかにし、サービスエリアを広げたい。サブはヘンテナの他、無指向性の5λ/8二段GPなども面白いかも知れない。ただし、マストトップに上げると落雷が怖い。昨今はアンテナの設計も楽になってきたから、次はそんなようなものを作ってみようか。
【6時-9時】
6時台の交信局数は18局、7時台は26局、8時台は22局である。6時半頃にはJF5NTTがトロッポで弱く呼んでくる。常連なのでパーシャルチェックが出来て何とか拾える。東北のマルチを求めて何度もビームを振るが03番ばかりが多い。7時台は以下の7エリアの局と立て続けにQSOできる。8時台には2局の8エリアが呼んでくれて、106と112が埋まる。
【9時-12時】
太陽が高く上がり、シャック内の気温も上昇する。今回はリニアを焚いているので500W〜1kWの熱風ヒーターを使っているのと同じである。エアコンを入れるも追いつかない。コンテストでリニアを焚く時はプロの送信所と同じように、ダクトを使って局舎の外に排気するのが必須だろう(笑)。
あらかじめトランシーバのメモリに登録されている各地のビーコン周波数を聞くと、50.037の沖縄のビーコンが良く入感している。南西ビームのスキャッタを狙ってCQを出す。3,4,5,6,7,9,0エリアが呼んでくれる。さらに、11時前に、DXクラスターにJD1の入感がリポートされる。ビームを南に振ると、289kHz付近のフォーンでコンテストに参加しているのが強力に入感する。この方向でもスキャッタが使えるだろう。50.010のJA2IGYの強さでスキャッタの方向を探り、CQを出すと結構呼ばれる。パワーの威力を感じる。
【12時-15時】
今年は6月に入ってからショートパスのW方面の入感が頻繁にリポートされている。東〜北東のスキャッタも要注意だ。JA2IGYを聞きながら八木を南西〜南〜南東〜東〜北東に向け、一番強く入感する方向でCQを出すが、気付いている局が少ないらしく、あまり呼ばれない。南西ビームの時、沖縄のJS6EYP、JR6VSP、7J6CCUが立て続けに呼んでくれる。知人の支援運用は誠に有難い。また青森のJM7TKK、7J7ADBとはダイレクトでQSOできる。
これで47都道府県、29番を除いてすべて埋まる。後は、いかに北海道のマルチを伸ばすかだろう。午後には、10局近い8エリアの局と交信しているが、この時間帯の北海道のニューマルチは108と109の二個に留まった。この時間帯の8エリアはダイレクトビームではない。70度〜120度方向のスキャッタである。1440頃まで、89.7kHzでCQを出してそれなりにランニングするものの、呼ばれなくなったため、最後のあがきで呼びに回る。そのおかげで交信局数を5〜6局増やすことができた。
案の定、その頃、北東ビームで北米が入感していた。どうやらJAの6&DはWでも知れ渡っているようで、ここ数年、6&Dの終わりの頃にはWが入感している。北東〜東ビームのスキャッタを利用するためにビームを向けて頻繁に出すCQ
TESTは太平洋を越えて北米まで届いているのだろう(笑)。
【結果】
6&D 2000、C50部門の結果は493局、51マルチの25143点であった。
マルチはそれほど伸びなかったものの、局数は国内コンテストのCW部門参加歴中で自己最高であった。得点も去年の自己記録
(433×57=24681点)をわずかながら伸ばすことができた。もう少しで500局を越えたのに残念である。まあ今後の目標としよう。
JN10月号には結果が発表され、F50部門ではJA6GCEが695×58=40310点で勝っていたが、C50部門では常連のJM1SZY
(455×46=20930点)、JI1ACI (19550点)などを抑えて私が勝っていた。今回は局数は伸びたものの、マルチが今一つだった。結果的にはこれまでMクラスで参加していたのが、今回からHクラスで参加し、ハイパワーで局数を稼いだものの、思ったよりはコンディションが良くなかった、と言うことなのかも知れない。
【諸感】
・以下の局は電信なのに帯域が広かった。
JE1PIO/? ずっと53kHz付近に居たが、それほど強くも無かったのに51〜53kHzくらいに渡って広がっていた。一度、無線機をチェックしてもらいたい。今回は聞こえなかったがJI2UNR/2もそうである。中心周波数のキャリアは良いのだが、その近傍、上下にザーザー言う成分が出ていて、すぐ近くに出られるとダメである。あと、個人局でもう一局あったが忘れてしまった。
・たまにはどいて欲しい局
JI2YATは大抵50kHz付近とか88kHz付近とか、同じ周波数で延々と何時間でも動かずにCQばかり出し、その陰に地方の弱い局が居るのに取れないことが結構ある。あれで効率は上がるのか? 一体誰が運用しているのだろうか(笑)。変な要望かも知れないが、たまには呼びに回ってその周波数をどいて欲しい。
・RSTだけ高速で打つ局
有名なJA6GCE局は599だけキーイング速度が速く、残りの部分は遅いコンテスト・ソフトウェアをご使用だったようだが、通常、RSTで同期を取って残りを聞くので、急に速度が変わって残りが取れず、AGN?と再送要求した。私が井の中の蛙なのだろうが、取れないものは仕方がない。
8月のFDのJH3XCU/1も同じく599は早く、それ以外の部分は遅く打っており、慣れない耳には異様に聞こえた。C50は全般にスキルが低いとバカにしても良いから、その部門、バンドに合わせて再送要求の発生しない、通りの良い方法を模索して欲しいものだ。
いくら早く打っても相手に正確に伝わらず、AGN?と打たれて再送すれば、それだけ時間が無駄になってしまう。
・JK1Z□□/1
今度乗り込むかも知れないので宜しく。
・システム全般の検討
あまり詳細は書かないことにするが、水平面内のメインローブのブロードなアンテナで集局し、さらにヘンテナ、GPなどでサイド方向を拾う。その他に電離層E層領域のFAIを始めとした異常伝搬を効率よく拾うため、新たなアンテナも用意したい。送受信のシステムにしても、まだまだ改善の余地はあると思われる。
シドニー五輪の女子マラソン金メダルの高橋は、本番の42.195kmを楽しんだと言う。正しいシステム解析と対策さえ出来れば、本番は楽しめるものなのだ。結局の所、本番でいかに頑張るか、と言う所ではなく、いかに状況を想定しいかに準備するか、と言う所で勝負は決まるような気がする。
コンテスト当日に出てきてフル参加したから入賞できるとか、そういうレベルを越えるよう努力しよう。
来年はさらに最適化したシステムで、レコードを目指したい。(と言っておこう)
【謝辞】
このコンテストでナンバー交換をいただいた各局、受信能力の追いつかない私を粘り強く呼んでくれた各局に感謝します。
To be continued
Han Higasa, je1βmj (Oct. 05, 2000)
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