新井、金本さんとV!瞑想修行で新境地
阪神の新井貴浩内野手(32)が15日、庄田隆弘外野手(30)、広島・石原慶幸捕手(30)と鹿児島市内の最福寺で恒例の護摩行を行った。6年連続6回目となる今回は、通常の護摩行に瞑想(めいそう)修行が加わり、本人もシーズン中に継続していきたいと意欲。「金本さんと優勝したい」と5年ぶりのV奪回へ強い覚悟を示した新井が、新たな境地へ足を踏み入れた。
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業火に顔をこがされ、不動明王御真言、般若心経を唱(とな)える新井の声が強さを増していった。昨年と同じ3000枚の護摩木をくべられた炎は高さ3メートルにまで達し、大仏殿は白煙に包まれた。1時間40分、飛びそうになる意識を必死に保ち、ヤケドを負いながら耐えた新井。見守った池口法主は、新井に新たな境地を用意していた。
それは瞑想修行。昨年、金本がこの修行を取り入れ、4月に月間2度の3打席連続本塁打を放つなど大爆発した。初日に新井は真言密教の「伝授」という儀式を敢行。人さし指を突き出したまま手を組み、目を閉じて池口法主が発する言葉を復唱しながら精神を統一させた。
「これから身に付くように厳しく指導していきます。集中できなかったときは罵声(ばせい)が飛んだり、手が飛ぶこともあるかもしれない」と厳しい内容を予告した同法主。新井も「今回でしっかり教えてもらって、継続してやれるようにしたい。神戸に帰ってからもやる。日々のルーティンにしていきたい」と意気込む。
シーズン開幕後は試合開始直前や、球場到着後に時間を見つけながら、集中力を高めてゲームに臨む考えで「精神統一をして気持ちを切り替えていくとか、スイッチをオンにしてメリハリをつけてくとかね」。
本塁打増を目指した昨季は打率・260、15本塁打と不本意な成績に終わった。広島時代の05年に本塁打王のタイトルを獲得するなど長距離ヒッターとしての資質は申し分ないだけに、池口法主は「これまで鍛えた肉体をいかに打席で発散できるか。気を出せるかがこの瞑想にかかってくる」と力説する。
「新井くんには3冠王をとってもらいたい。その心を持ってやってほしい」とゲキを飛ばした同法主。ただ新井は具体的な個人成績には触れず「阪神に移籍して3年目。金本さんと優勝したい。このチームメートで喜び合いたい」と5年ぶりのV奪回へ強い覚悟を口にした。
6年連続の荒行は、年々激しさを増している。「しんどかった。今年はしんどかった」と初日を終え、顔を赤く腫らした新井は憔悴(しょうすい)した表情を浮かべる。ただ新たな境地に足を踏み入れ“心”が一回りも二回りも大きくなれば、修行の成果はシーズンで結果となって帰ってくる。