逮捕された民主党衆院議員・石川知裕容疑者(36)=北海道11区=は、党内で絶対的な力を持つ小沢一郎幹事長の元秘書の一人だった。「小沢先生の命令は絶対」で、当選しても「あくまで秘書」――。周囲の人々にそう映っていた石川議員。小沢氏の元秘書たちは、捜査に何を語るのか。
「口には出さないけれど、昔から自分で使えるお金には困っている様子だった。石川議員の秘書はいつも資金繰りを心配していた」
長年にわたって小沢幹事長の秘書を務めていた石川議員について、地元支援者はこう口をそろえる。
石川議員は1973年に北海道足寄町で生まれた。3人兄弟の末っ子で父親は元町議。幼い頃から、ものおじせず、人見知りしないタイプだったという。父親は日頃から「こすいこと(北海道弁で『ずるいこと』)するな」と言い続けた。知人らは「父親の選挙を間近に見て育ち、自然と政治を志していった」と振り返る。
小中学校は地元の町立校、高校は函館市内で寮生活を送った。高校時代は野球部で白球を追いかける一方、「三国志」などの歴史ものの漫画を愛読。海部内閣発足時に歴代最年少の47歳で自民党幹事長に就任した小沢氏に心酔していたという。
早稲田大商学部在学中に小沢氏の事務所へ出入りし始め、書生として小沢氏の自宅に住み込み、洗車や庭掃除などをするようになったという。卒業後は就職せずそのまま私設秘書に。関係者によると、私設秘書の給与は月10万円程度だったという。
秘書として小沢氏に仕えた当時、石川議員は「尊敬する小沢先生の命令は絶対で、言われたらその通りにやるしかない。悪いことかどうなのか考えない。仕事を選ぶ権利はなかった」と関係者に語っている。