現在位置:
  1. asahi.com
  2. スポーツ
  3. コラム
  4. 競馬ウイークリー
  5. 記事

競馬ウィークリー

落馬リスク大 命がけの騎手

2010年1月15日

  • 筆者 有吉正徳

 11日の中山競馬で出走馬16頭のうち9頭が落馬するという事故が起きた。1レースの落馬としては中央競馬で最多だった。

 きっかけは、ほんのちょっとした馬の動きだ。逃げていたノボプロジェクトが右回りの4コーナーを回る時、わずかに左後肢を外側に振った。それが左隣を走っていたフォルメンに触れ、フォルメンが転倒。各馬ともスパートをかけていた勝負どころでもあり、避けようがなく、次々と転倒した。

 ノボプロジェクトは1位で入線したが、落馬の原因を作ったことで失格。手綱を取っていた三浦皇成騎手は1月16日から24日まで開催日4日間の騎乗停止処分を受けた。日本中央競馬会のホームページで公開されているパトロールビデオを見ても、ノボプロジェクトの挙動変化は小さなものだ。それでもこんな大事故につながる。

 巻き込まれた内田は左腕を骨折、松岡は口の中を切った。勝浦、中舘、蛯名と合わせて5騎手がその後の騎乗をやめなければならなかった。命にかかわるようなけがをした騎手がいなかったことはせめてもの救いだった。

 騎手は命がけだ。今回の事故で改めて危険な職業であることを痛感した。ヘルメットやプロテクターを着けてはいるが、完全に守られるわけではない。1954年の中央競馬会創立以来19人の騎手が落馬で命を落としている。

検索フォーム
キーワード:

朝日新聞購読のご案内