抗鬱剤 軽症患者には効果なし (2/2ページ)

2010.1.15 05:00

英グラクソ・スミス・クラインの抗鬱剤「パキシル」(ブルームバーグ)

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 これに対し、グラクソのスポークスマン、クレア・ブロー氏は「今回の調査で用いられた分析方法は抗鬱剤の主成分パロキセチンの承認を裏付けた研究と方法論的に異なるため、結果だけを比較するのは困難」と反論。抗鬱剤はカウンセリングや生活習慣の改善とともに重要な選択肢の一つだと主張している。

 米国疾病管理予防センターが06年に35州を対象に行った調査では、米国人の約16%が人生のある時点で鬱病と診断されている。また、IMSヘルス社の調べによると、08年の世界の抗鬱剤売り上げは203億ドル(約1兆8600億円)に上っている。抗鬱剤が入手可能になった1950年代以降、健康に対する影響調査が続けられている。これまでに自殺願望、出生異常、生命にかかわる神経障害と抗鬱剤の関連性が示され、また男性の生殖機能障害、女性の性欲抑制、乳がん治療薬の効能を妨げるという結果も出ている。

 米国食品医薬品局(FDA)は抗鬱剤治療により子供や思春期の青少年の自殺願望や自殺行為の危険性が高くなることを警告するため、04年からすべての抗鬱剤に対して、「ブラックボックス警告」(最も厳重な警告)の表示を義務化している。(ブルームバーグ Simeon Bennett)

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