政府税制調査会は外部有識者による専門家委員会の設立に合わせ、納税者番号(社会保障番号)制度の導入などを検討する複数のプロジェクトチーム(PT)も設置する。昨年末にまとめた10年度税制改正大綱では「給付付き税額控除」の導入など改革の大まかな方向性は打ち出したものの、実現には課題が山積しており、専門家委員会などを活用して、税制抜本改革の本格検討に着手する方針だ。
自民党政権時代も、外部有識者で構成する旧政府税調があったが、税制改正の決定権は党の税制調査会が握り、「インナー」と呼ばれる税制に精通した少数の与党議員が税制を取り仕切ってきた。
民主党政権はこれを「密室」と批判し、各省の大臣や副大臣らだけで構成する新しい政府税調を設置。税制の主導権を政府が握り、昨年末に10年度税制改正大綱をまとめた。
ただ、「税制に精通している議員が極めて少ない」(峰崎直樹副財務相)ため、専門的な議論を深めるのが難しいという欠点が浮上。高度な税財政の知識を持つシンクタンク的な機能を持つ組織として、専門家委員会の設置が決まった。
旧政府税調は経済界や地方自治体の代表、報道関係者ら幅広く外部有識者を集めた結果、意見集約が難航したが、この反省を踏まえ、専門家委員会は学識者中心の構成となる見通し。税調幹部を中心に委員の人選を進めることで、民主党の政策を補完する役割に期待している。
一方、シンクタンクである専門家委員会の設置と並行して、政府税調は個別課題について具体的な検討を進めるPTを設置。こちらは政府税調委員を中心に構成する方向だ。
当面の課題が、納税者一人ひとりに個別の番号を割り振る「納税者番号制度」導入。新政府税調の調整力が問われそうだ。【赤間清広】
毎日新聞 2010年1月13日 20時18分(最終更新 1月13日 20時34分)