経済
10分で鉄づくり 神戸製鋼所が商用生産成功
新製鉄法による初の商用生産に成功した回転炉床炉=米国ミネソタ州ホイット・レイクス |
神戸製鋼所(神戸市中央区)は14日、高炉を使わない自社開発の新製鉄法「ITmk3」(アイティー・マークスリー)による初の商用生産に、米国ミネソタ州の合弁プラントで成功したと発表した。高炉では8時間かかる鉄づくりが、わずか10分で済み、二酸化炭素排出量も20%削減できる。鉄鋼生産の効率アップと地球温暖化対策を両立する技術として世界的に注目されており、今夏にも年産50万トンのフル操業に入る。
従来の高炉方式は、炉の上から鉄鉱石を入れて徐々に溶かし、液状になった鉄を下から取り出す。今回の方式は、高炉に適さない低品質の鉄鉱石と石炭の粉を混ぜて団子状に固め、回転炉の中で溶かして粒状の鉄を生産する。
神鋼は米スチール・ダイナミックス社と合弁でミネソタ州に商用1号機を建設。設備試験を経て連続運転のめどがたち、今月12日(現地時間)から原料を投入し生産を始めた。取り出した鉄粒はスチール社に販売する。
同製鉄法では鉱山近くにプラントを作れるため、原料の輸送費を抑えられる利点もあるという。新興国の経済成長で鉄鋼需要が世界的に高まり、質の良い鉄鉱石の需給がひっ迫する恐れがあるため、神鋼は合弁生産やプラント受注、技術供与の形で「ITmk3」を普及させていく。
すでにベトナムやインド、ロシア、豪州などで現地の鉱山開発会社と商用2号機の商談を進めている。1号機の成功を機に営業を強化する。(内田尚典)
(2010/01/15 08:40)
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