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2010年 1月 1日(金)

2010年 「海づくり」「COP10」

環境にやさしい生活を

 選挙による初の政権交代が実現した2009年から10年に暦が変わった。政権は民意で変えられるが、生きとし生けるものの「いのち」は取っ替え引っ替えできない。すべての生き物はつながりあって生きており、人間だけが特別の存在ではない。人間も他のいのちに依存して生きている。当たり前のことにもう一度目を向け反省、考える機会がことしある。

 一つは、10月に名古屋市で開催される「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」、もう一つは、6月に関、岐阜市で開かれる「第30回全国豊かな海づくり大会〜ぎふ長良川大会〜」だ。国際会議とイベントではスケールが違うが、せっかくの機会を参加国や開催地だけの催しに終わらせるのはもったいない。

 「生物多様性」とは、各地域には固有の自然があり、それぞれに特有の生き物がいて、つながっている状態を言う。干潟、サンゴ礁、森林、湿原、河川など生態系の多様性、地球上の推定生物は500万〜3千万種といわれる種の多様性、同じ種でも生息する地域や個体間で違いを見せる遺伝子の多様性に分けられる。

 わたくしたちはこの生物多様性の恵みに支えられて生きている。食べ物、水、衣服、木材などの生活物資はもちろん、森が酸素をつくり出し、微生物が汚れた水を浄化してくれるなど、さまざまなサービスを受けている。しかし現状は憂うことばかりだ。数多くの生物が絶滅の危機にある。

 かつて田んぼには、いろんな生き物がいた。アキアカネの幼虫は羽化すると田んぼの害虫を食べてくれた。脇の小川にはドジョウやサワガニがすみ、小魚が動物プランクトンを食べ、そのふんを栄養にして植物プランクトンが増える。農薬の使用やコンクリート化などでそうした生き物の姿を見る機会が減った。

 環境省参与の黒田大三郎氏は「日本の生物多様性は四つの危機にさらされている」と言う。▽開発や乱獲による種の減少絶滅▽里地里山などの手入れ不足で耕作放棄地の増加▽外来種の持ち込みによる生態系のかく乱▽地球温暖化による種の絶滅や生態系の崩壊の恐れだ。その原因は人間にある。

 生物多様性条約は、地球のいろんな生き物とその生息環境を保全、生物資源を持続的に利用、遺伝資源の利用から得られる利益を公平に分配するのが狙いで、192の国と地域(09年10月現在)が加盟している。1992年の国連環境開発会議(リオ・地球サミット)で生まれて以来、2年ごとに条約締約国が集まって会議を開いている。

 COP10には約7千人の参加が見込まれる。「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」2010年目標の達成年にあたり、達成状況の検証と新たな目標などが議論される。

 豊かな海づくり大会はCOP10に通じる。ぎふ長良川大会は森・川・海が一体となった自然環境保全の取り組みが特徴だ。「清流の国 ぎふ」のアピールにとどめず、その先にある課題を自身の問題として受け止めたい。人間が他のいのちと共生しながら生き延びていけるかだ。

 「地球温暖化に比べ生物多様性への関心は低い」と黒田氏はこぼしていたが、「生物多様性」という言葉の難しさが壁になっているだけで、生物多様性の保全は意識と生活スタイルを変えることで貢献できる。自然の恵みに感謝、身近な自然を大切にし、環境にやさしい生活を心がけ、ことしをその元年にしたい。

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