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経済展望/デフレ脱却に攻めの政策を(1月3日付)
2010年の日本経済は、一にデフレから脱却して景気を浮揚させる政策にかかっている。政府は10年度の経済見通しの中で、国内総生産(GDP)の成長率を3年ぶりにプラスと見込んだが、デフレの継続、完全失業率の高止まりも予測したように、ことは簡単ではない。
既に企業収益の悪化が賃金の低下、失業増を招き、さらに景気が悪化していくデフレスパイラルに陥る傾向を見せている。追加経済対策は通常国会を経て実施され、日銀の金融緩和政策も続くとみられるが、特に地方への波及には時間差が生じる。間髪入れない「二の矢」「三の矢」も必要になってこよう。
バブル経済崩壊後の1990年代後半から金融機関の不良債権問題と同時進行したデフレは、その後の日本経済の足かせになった。同じ轍(てつ)を踏んではならない。政府には、的確な状況判断とスピード感を持った政策の展開を求めたい。
東京株式市場の昨年末の大納会で、日経平均株価の終値は1万546円44銭だった。年間の上昇率は世界の主要市場の中では低水準だったが、前年末の終値より上昇して取引を終えたのは3年ぶりで、好材料として今年に引き継がれた。
10年度の財政投融資計画は、09年度当初比15.7%増の18兆3569億円。日本政策投資銀行や商工中金を通じて企業に低利融資する支援策などの1年延長が追加経済対策で決まったため、企業の金融支援関連は33.3%増の約8兆2000億円になった。効果を期待したい。
経済産業省が昨年12月に発表した鉱工業生産指数速報(11月分)は9カ月連続のプラスだったが、同月の内閣府発表の景気ウオッチャー調査では、街角の景気実感を3カ月前と比較した判断指数が急激に悪化した。国内景気の減速が今後鮮明になってくるとみられ、消費者心理の一層の低迷も予測された。
他方、10年度末の国と地方の借金を合わせた長期財務残高は09年度末比37兆円増の862兆円となり、過去最大を更新する見通し。税収の大幅不足と景気を下支えする財政出動のためだが、財政再建の道筋はますます見えなくなる。
本県も厳しい状況に変わりはない。日銀福島支店は今年の本県の経済展望について「ゆっくりではあるが、基本的には持ち直しの方向に進むだろう」としているが、有効求人倍率や新規高卒者の就職内定率が極めて低いレベルで推移し、可処分所得も減少している傾向などを踏まえると、改善に向かう実感は乏しい。
政府は、経済に関する戦略がないとの批判を受け、20年度までの成長戦略の基本方針を昨年末に決定した。具体的実践として、まずはデフレから抜け出すため、さらに攻めの政策を展開することを望む。
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