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社説:「陸山会」土地取引 小沢氏に説明求めたい

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る会計処理について、東京地検特捜部の捜査がヤマ場を迎えている。

 当時の事務担当者で、小沢氏の私設秘書だった石川知裕衆院議員は、04年に行われた土地購入の資金に充てるため、小沢氏から現金で約4億円を受領したとされる。だが、政治資金収支報告書に記載しなかった。特捜部は政治資金規正法違反(不記載)で、来週にも石川議員を在宅起訴する方針だ。

 この取引を巡っては、不自然な資金の流れが明らかになっている。

 石川氏は04年10月5日、小沢氏から借りた約4億円で土地購入の手付金1000万円を払い、残額を陸山会の口座にまとめた。さらに同月29日午前、口座から土地代の残金約3億3000万円を支払った。

 石川氏はその日午後、小沢氏の複数の政治団体から1億数千万円を陸山会の口座に入金し、手持ちの資金と合わせて4億円の定期預金を組み、これを担保に金融機関から4億円の融資を受けたという。

 小沢氏側は従来、この融資金を土地購入に充てたと説明していた。だが、午前の支払いと午後の融資の時間差が説明の矛盾を露呈した。

 このような資金移動をしたうえ、収支報告書へ記載しなかったのはなぜか。疑惑の出発点である。

 石川氏は、特捜部の事情聴取に「虚偽記載は私の一存」と供述したとされる。一方で、土地購入は小沢氏の指示だったことを認めている。小沢氏は政権へも強い影響力を持つ。会見などを通じ、一連の経緯への認識を明快に語ってほしい。

 「陸山会」の会計処理を巡っては、05年にも小沢氏側からの約4億円の出入金が報告書に記載されなかった。07年にも約4億円が出金され、別の元秘書が小沢氏宅に運んだとされる。04年分の借り入れの返済とみられるが、記載はない。報告書への不記載の総額は17億円を超える。

 昨年、西松建設からの献金に絡み公設第1秘書が逮捕・起訴された事件での小沢氏の発言を思い起こしたい。小沢氏は、献金は政治資金収支報告書にすべて記載し、やましいことはないと繰り返した。今回の事態が発言と矛盾するのは明らかだ。

 小沢氏の資金問題では、「新生党」と「自由党」を解党した際の党の残余資金22億円以上が小沢氏側政治団体に移ったとされる。西松建設事件では、特定の業者からの多額の政治献金を検察から指摘された。

 約4億円は私財かもしれないが、一政治家の資金としては巨額だ。その原資も気になる。小沢氏は、特捜部の聴取に応じるだけでなく国民への説明責任を果たしてほしい。

毎日新聞 2010年1月8日 東京朝刊

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