社説
デフレ経済 脱却への活路開きたい(1月8日)
今年の日本経済はどうなるのか。暮らしの足元をみれば景気の冷え込みは明らかだ。年後半は良くなるとの見方もあるが、雇用や賃下げの不安はぬぐえない。
最大の懸案は持続的に物価が下落するデフレの問題だ。
加速すれば、経済自体が縮んでしまう悪循環に陥る恐れがある。日本経団連の御手洗冨士夫会長も年頭の記者会見で、デフレからの早期脱却を最優先の政策課題に挙げた。
鳩山由紀夫政権は、辞任した藤井裕久財務相の後任に菅直人副総理が就き、仙谷由人行政刷新担当相が国家戦略担当相を兼任する新態勢になった。
両氏が経済・財政運営の中核を担う。日銀とも政策協調し、デフレ克服への活路を開かねばならない。
デフレの背景には大きな需給ギャップがある。内閣府の推計では日本経済は約35兆円の需要不足だ。
需要を掘り起こすため、企業は製品やサービスの値下げ競争に入る。
これが利益の減少をもたらし、リストラや給与カットを招く可能性がある。経済が縮小し、消費の低迷や失業者の増加にもつながりかねない。デフレの怖さはここにある。
国と地方の長期債務残高が800兆円を超える財政事情を考えれば、需給ギャップを政府支出で埋めるには限界がある。需要の増加には内需拡大と輸出の回復が欠かせない。
2010年度予算案に、子ども手当の支給や高校授業料の実質無償化などが盛り込まれた。子育て世帯の家計負担を軽減する狙いだ。
ただ子ども手当は全額が消費に使われず、貯蓄に回る部分もある。内需刺激にどれだけつながるかははっきりしない。
輸出は中国など新興国向けが回復傾向にあるものの、肝心の米国は雇用の悪化に苦しみ、経済の低迷はしばらく続くとみられる。外需のめざましい改善は当面、期待できまい。
こうした状況を打開するには企業の業績回復や成長を通じ、雇用や設備投資を増大させる必要がある。
鳩山首相は昨年末、今後10年間の経済成長戦略の基本方針を打ち出した。国内総生産(GDP)は年平均で名目で3%、物価変動の影響を除く実質で2%以上の成長を目指す。
環境や医療・介護、観光分野などで新たな需要を創出し、雇用の拡大にもつなげる。その方向性は分かるが、実現への道筋は見えない。
政府は6月までに基本方針を肉付けし、工程表も作成する。
デフレをどう切り抜け、安定成長へと導くのか。具体的な手順を示さなければ、目標は絵に描いたもちにすぎない。国民の期待に応える経済戦略の実行を求めたい。
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