グーグルが自主規制解除? 中国語サイトでタブー画像が検索可能に
1月14日18時0分配信 産経新聞
【上海=河崎真澄】米グーグルが情報統制を強める中国当局への反撃に出た。撤退検討が明らかになった13日以降、1989年の「天安門事件」時の画像など、従来は当局側に配慮して自主規制していたとみられる情報が、中国国内からの検索に解禁され始めた。昨年6月段階で3億8千万人を超えたとされる中国のネットユーザーに、民主化や人権、言論の自由などの価値観で暗黙のメッセージを送った格好だ。
成長性の高い巨大市場を武器に、外国企業から巨額の資金や技術を引き出す一方で規制で縛り付ける中国当局の戦術に対し、ユーザーを味方につけ、中国当局に対抗しようとするグーグルの作戦との見方もある。
中国国内から検索可能となったのは、天安門事件で学生らの鎮圧に出動した人民解放軍の戦車に1人で立ち向かった男性をとらえた「戦車の男」と呼ばれる写真など、中国当局が国内での公開を禁じてきたタブー画像。中国最大手の検索サイト「百度(バイドゥ)」では、これらの画像は表示不能のままだ。グーグル側はタブー画像の扱いについて説明はしていない。
14日には中国語版グーグルのトップページのロゴ部分に印刷技術や紙など「中国4大発明」のデザインが登場した。中国のネット上では「グーグルが撤退すれば中国ネット情報は100%当局管理の暗黒時代に入る」といったグーグル擁護の論調がめだつ。
一方、14日付の中国紙、環球時報は「中国のネット管理は模索段階にある。グーグルはもっと理性的な行動が必要だ」とする専門家の話を紹介しつつ、「中国市場から撤退して損失を被るのはグーグルの側だ」とする見方を伝え、グーグルに揺さぶりをかけた。
他方で上海市場では百度株が13日以降、高値で推移するなど、昨年のネット検索市場で60・9%のシェアを握ったという百度「独り勝ち」を予想する投資家の思惑もある。グーグルは同31・8%で2位だった。
グーグルの動画共有サイト「ユーチューブ」の全面遮断や、ポルノ対策を理由にした検索サービスへの制限、著作権をめぐる中国作家協会との軋轢(あつれき)など、中国はグーグルを標的とした難題を次から次へと持ち出してきた。ユーチューブ遮断はいまも続いており、情報統制をめぐるグーグルと中国当局の攻防は、サイバー空間でいまも激化しているようだ。
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最終更新:1月14日18時14分
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