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【社会】

「無料宿泊所」脱税疑い FIS経営者ら5億円所得隠し

2010年1月14日 09時18分

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 生活保護給者を対象にした「無料低額宿泊所」などで挙げた所得計五億円を申告せず隠していたとして、名古屋国税局が宿泊所事業者「FIS」のこれまでの実質的経営者の藤野富美男氏(45)=東京都文京区=と、元幹部2人を所得税法違反の疑いで、名古屋地検に告発していたことが分かった。

 近年、社会問題となっている「貧困ビジネス」を舞台にした3人の脱税総額は2007年までの3年間で1億7千万円。国税当局による強制調査は初めてで、3人とも修正申告に応じたという。

 関係者によると、藤野氏ら3人は02年ごろから、届け出制の無料低額宿泊所や無届けの宿泊施設に失業者や路上生活者らを住まわせ、地方自治体が毎月支給する12万円前後の生活保護費から家賃などの利用料約9万円を徴収。人件費や光熱費などの必要経費を除いた利益を、3人で分配していたのに、個人所得として申告していなかった疑いがもたれている。

 無申告だった利益は、藤野氏の個人口座を経由して、自治体や官公庁との調整を担当していた飯島利夫元幹部(45)=東京都北区、宿泊所の運営を担当していた坂井正行元幹部(51)=同=にそれぞれ渡っていたもようだ。

 本紙の取材に藤野氏の家族は「何もお話しすることはないと思います」と話した。FISの施設運営会社の現役幹部は取材に対し、藤野氏以外の2人は、いずれも昨年末の役員会で役員を退任したことを明らかにした。同幹部は「2人は、個人の問題であり、会社に迷惑をかけたので辞めると話した」という。

 FISの資料によると、宿泊所事業者は生活困窮者の自立支援を目的に02年1月に発足。FIS関連の宿泊所数は09年1月現在で名古屋市など1都6県に少なくとも24ある。

 【無料低額宿泊所】 生活困難者が無料か低料金で利用できる宿泊施設。特別養護老人ホームなどの許可制とは異なり、民間非営利団体(NPO)などが自治体に届け出るだけで設置できる。厚生労働省の調査によると、昨年6月末時点で全国439施設に1万4089人が入所。ホームレス対象の無届け施設数は昨年1月時点の初調査で127。入所者は1715人だが、詳細は不明。入所者の金銭管理や処遇などで社会問題となっていた。

 (中日新聞)

 

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