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きょうのコラム「時鐘」 2010年1月14日
就任から1年。オバマ米大統領誕生時の秘話が相次いで出版されているという。生々しいのはクリントン元大統領の次の発言である
妻のヒラリー陣営の劣勢に焦ってケネディ議員に支援を求めた。「数年前なら、われわれにコーヒーを給仕していたかもしれないようなやつだぞ」と語ったとある。相手を見下した一言が逆効果となり、ケネディ議員はオバマ支持を強めた 「60年前には、レストランで給仕もしてもらえなかった父を持つ男が皆さんの前に立っている」と述べたオバマ大統領就任演説を思い出す人も多いだろう。先の秘話が正確としての話だが、似た例え話をしながら効果は大違いだった 2人の違いは品格の差というより歴史観の差でもあろう。古い固定観念から抜け出せない政治家なのか、過去を教訓として明日を語ることができる人物か、有権者は見抜く目を持っている。衆愚政治と言われることもないではないが、大衆の判断はおおむね正しいと歴史は語る ライバルと戦うには昨日までの力で計っては危ういとの教えでもある。日本の政界でも売れそうな権力誕生の秘話本である。 |