しらかば帳

　６月、教員の不祥事が相次いだことを受けて県教委が「危機感を持って信頼回復に努めてほしい」と異例の緊急メッセージを出した。４～６月に前年を上回るペースの６人が懲戒処分を受けていたからだ。県警担当の私も、教諭の飲酒運転や無免許運転などの記事を書く機会が何度かあり、印象に残った出来事だった。

　処分を受けた教員はどうなったのか。飲酒運転で懲戒免職となった３０代の元男性教諭に会う機会があった。

　「どうやって死のうかと思った」

　飲酒して数時間後、乗用車を運転し、物損事故を起こした。衝撃で我に返って、真っ先にこう思ったという。男性は県教委の基準通り懲戒免職となり、無職になった。

　求職のためにハローワークなどに通ったが、特別な資格は持っておらず、教員時代のスキルは「つぶしがきかない」。免許取り消しで、車を運転できなくなったことも就職の大きな障害になったという。不況もあって正社員にはなれず、現在は派遣社員として登録している。「自分の甘さがひき起こした事故。免職は当然です」と語るが、教員時代の貯蓄も残り少ないという。

　県教育委によると、緊急メッセージを出した後も、１２年間の無免許運転の発覚などで３人が懲戒処分となった。だが９月以降の処分対象者はゼロで、メッセージや処分の公表は一定の効果があったのかもしれない。

　「生徒と喜び悲しみを共有できるのが一番の醍醐味（だいごみ）だった」。男性は教員時代を振り返った。どんなに一生懸命勤務していても、一瞬ですべてを失ってしまう恐ろしさ。飲酒に限らず、車の運転すべてに言えることだ。仕事で車をよく使う私も、多くのことを考えさせられた。【大平明日香】