マラソン更新中につき、前振りは割愛しております。
宜しければ、前項「ゲームプログラマ偽ライブ中継コメント返信マラソン、開幕」をご覧下さい。
------>以下、引用
半人前プランナ さん
お疲れ様です。興味深い。
ちょっと質問です!
確かにマルチが主流であり、単一機種特化が冒険的要素が膨らむ事をパブリッシャーは承知しリスクを回避してます。しかし、一部ディベロッパーはコスト的に一機種に特化せざるを得なかったり、ユーザーに一機種に特化させたゲーム体験を運びたいという気持ちがあります。
そういった場合パブリッシャー側が、そういったディベロッパーの事情を汲んでマルチ化の準備を用意すべきでしょうか?それとも、ディベロッパー側が諸々の事情を押し殺して、マルチ化すべきでしょうか。
ケースバイケースは置いといて、モリサコさんが考える理想論を良ければ教えていただきたいです。
次世代機ゲーム開発におけるディベロッパーとパブリッシャーのベストな付き合い方、みたいな。
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いつも有り難う御座います。貴方から頂くコメントはエントリーヒントとしてとても助けになっています。
我々開発者は本質的には元来機種特化を望んでいます。研究開発を如何に楽しむのか、こういった面がベースにありますからね。「難しいハード」ってのは弄くり倒してみたいんです。しかしPS3ってのは「遣り甲斐のあるハード」ではありません。単純に生産性におとる面倒くさいだけのハードなのです。これは断言しますし世界中のプログラマが感じている事でありましょう。当たり前の事が当たり前に出来ないのです。
俺個人もこういうクセのあるハードウェアは元来嫌いではありません。ありませんが限度がありますね。結局はこのエゴの固まりを楽しいとは思えませんでした。一応、この難物を制する為のスキルストックは俺個人は元より俺の組織も制したと言って良いでしょう。なんともつまならない行程でありましたが、こいつはもういいのです。判ったので。今ではもう360の足を引っ張らない様に世界中が動いている事でしょう。生まれたときから足枷なのですね。残念なハードなのです。
しかし現代のマーケットにおいて、そんな事情における言い訳は愚の骨頂でありましょう。貴方の仰る様に機種特化100%オーバー注力の作品、これを我々も作りたいことこの上ありません。ですが、現状これはマーケティング的に理論破綻しています。今それをやっているはチームには確かに一部成功例も見受けられますが、大半は単にマーケティングチームを含めたメーカー全体の勉強不足により墜ちています。失礼ですが、日本の中小ゲームメーカーは殆どがこのパターンに当て嵌まります。各国どこのユーザーも殆ど目を向けていませんしね。(まあ、プログラマというよりもデザイナなのですけれどね)
俺個人は別に日本マーケットに立ち上がって貰わなければならない理由はなく、相場師よろしく現時点での需要に着いて行くだけではあります。が、自身日本人ではありますので、感情的には寂しい状況です。
ご質問の理想論に返答させて頂くとするならば、利権の統一。これにつきますね。
この資本主義主体の地球においてはまず絶対に実現しませんが、プログラマ的に夢を語ります。ハードウェアはDOS/Vの様に仕様を統一してしまうべきでありましょう。プログラマが徹夜しなくてもマルチ環境が出来上がります。ソフトウェアによって最低動作保障ハードを指定するのもナンセンスですが、現状よりは良いでしょう。これによりソフトウェアの生産性は目にみえて向上するでしょう。ヒット作も生まれやすくなりながら、安い佳作達、そうおった市場活性化ゲーム達も充分に商業性立場を得られるでしょう。コストが違いますからね。
こんな夢世界はともあれ、結局今俺達がやっている事の労力の数十パーセントはマルチ互換性維持であるのです。いくら元来その様に設計していたとしても全機種統一コードを走らせるには本当に注力します。
ちなみに、これを安易に批判する人間はそれだけでエセでありましょう。断言します。
長くなりましたが、結論から言えばデベロッパに求められる本当に必要な点は引き出しの多さです。「マルチの準備をしておくべきか」。このまったりとした感覚が既に命取りになるかもしれません。きつい言葉で申し訳ありません。
「マルチの選択肢もいつでも提供出来る」、ある程度力のあるデベロッパ各社におきましてはこの程度の引き出しは既に十分に見受けられます。本当に商業として成り立つ案件はその2歩先へと動いているのです。
例えば、「マルチは当たり前なので予算には取り入れません。更にHavok予算を節約されるのであれば部分的に制限はありますが当社物理エンジンを無償で提供します。」
現代においてはこの位言えて初めて商業性が生まれます。もうそういう世の中であると言って良いでしょう。
パブリッシャー側であるのならば尚更ですね。卸元がハードルを下げている様では結局未来はありません。勿論目の前の生産性や需要がありますが、理想論としての波に飲まれず、誰よりも先に現実的な着地点を見極める事はとても重要であると考えます。
ほんと、失礼でごめんなさい。
「本音」として嘘は書きたくなかったので、失礼な物言いになってしまいました。
丁寧な返信、痛み入ります。
>失礼な物言い
失礼ですが(笑)、私はそう感じませんでした。
といってもこれは盲信からでは無く、私にも思うところであり、ゲーム業界を憂う先達の真摯な警告として受け止められたからです。
仮に挑発的に書かれようと、それは変わらなかったと思います。
前置きが長くなりました(←これが言いたいだけちゃうんかw)。
モリサコさんはマルチ化における最大の落ち度を「経済的」観点の欠乏と指摘されましたが、それはマルチに限らず、ゲームの販売形態、ソーシャルゲームなど様々な点で痛手となっていくのでしょうね。
身の振る舞いを省みる良い材料となりました。
誠にありがとうございます。