昨年7月、路線バスの中で女性の胸元を撮影し、神奈川県迷惑行為防止条例違反容疑で現行犯逮捕された元会社員の男性(52)を横浜市教育委員会が同12月、民間人校長の1人に選んでいたことがわかった。選任の発表後、匿名の通報が市教委にあり、男性から事情を聴いたところ、「一身上の都合」を理由に採用を辞退したという。
男性は今春に校長に就任する予定だった5人の採用候補者の1人。186人が応募し、書類選考と2度の面接を経て選ばれた。
県警などによると、男性は同7月22日、横浜市内を走行中のバスで女性の胸元を撮影。気付いた女性が車内で取り押さえた。男性は「趣味で撮影した」と容疑を認めていた。横浜地検は8月、男性を不起訴処分(起訴猶予)とした。被害者と示談が成立したことや会社を退職し社会的制裁を受けた点などを考慮したとみられる。
市教委によると、市民からの通報で初めて事件について把握したという。男性は朝日新聞の取材に対し、「事情があって辞退した。そのことについては話したくない」と話している。
大野敏美・教職員人事・企画部長は「教委が独自に過去の逮捕歴が調べられるわけではない。応募者本人の倫理観に頼るしかない」と説明した。(安富崇、佐藤善一)