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高級ホテル 大阪の陣…外資系進出ラッシュ

富裕層取り込み 供給過剰懸念も

 JR大阪駅北側の梅田北ヤードや中之島など大阪市内で、外資系高級ホテルの進出計画が相次ぎ、富裕層や海外からのビジネスマンなどの争奪戦が起こりそうだ。すでに客室の供給過剰が指摘されており、さらなる競争激化で、既存の老舗ホテルの経営への影響が懸念される。

(船木七月)
セントレジスホテル大阪が高層階部分に入る複合ビル(大阪市中央区で)

 世界的なホテルチェーン、米スターウッドホテル&リゾートの最高級ブランド「セントレジスホテル大阪」(大阪市中央区)は7日、10月1日に開業すると発表した。積水ハウスが御堂筋沿いに建設する複合ビル(27階建て)の11〜27階に、160の客室と2軒のレストランを設ける。宿泊料金は、大阪で最高価格帯(1泊4万6273円から)の「ザ・リッツ・カールトン大阪」(北区)をやや下回る水準とする方針で、稼働率7割を目指す。

 英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループの梅田北ヤードへの12年度誘致を目指し、開発企業連合が交渉している。京阪電気鉄道と大林組は12年度に中之島に、近畿日本鉄道も14年春開業する阿倍野のビルに誘致する方針だ。

 週刊ホテルレストランの石渡雅浩副編集長は「大阪では客室単価が3万円を超えるのはリッツしかない。外資系進出で富裕層の新たな需要が生まれる」とみる。

 迎え撃つ老舗ホテルは「大阪地区のシティーホテルの活性化につながる」(リーガロイヤルホテル)、「世界ブランドの進出で、大阪が国際都市として発展する」(帝国ホテル大阪)と歓迎する。

 ただ、08年度末の府内のホテルの客室数は計5万1142室と東京都(9万3769室)の5割超だが、経済規模は東京の3分の1しかなく、供給過剰は明らかだ。新型インフルエンザと不況による稼働率低下に、価格競争が追い打ちをかける。今後、富裕層を外資系ホテルに奪われれば、状況はさらに厳しくなる。

 このため、リーガロイヤルホテルは、今秋、企業経営者らの間で人気だった名物パーティー「夜会」を十数年ぶりに復活させるなど、富裕層の囲い込みを図る考えだ。梅田北ヤードに近いウェスティンホテル大阪(北区)は、12年度の外資進出を見据え、08年度から全館改装に取り組んでいる。シェラトン都ホテル大阪(天王寺区)も09年秋に大規模な改装を完了するなど、各ホテルが設備やサービス拡充を急いでいる。

2010年1月8日  読売新聞)

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