2010年1月13日 9時8分 更新:1月13日 13時10分
【メキシコ市・庭田学】カリブ海の島国ハイチで12日午後4時53分(日本時間13日午前6時53分)ごろ、マグニチュード(M)7.0の地震があった。震源に近い人口約200万人の首都ポルトープランスでは、大統領宮殿など政府庁舎を含む多くの建物が倒壊。米CNNテレビ(スペイン語版)によると、火災が多数発生している。地元の医師はAFP通信に数百人が死亡した可能性があると述べた。一方、現地に駐在する米国の援助団体関係者はロイター通信に、数千人ががれきの下敷きになっている可能性があると指摘し、「数百人の死者というのは非常に控えめな見通しだろう」と述べた。
米地質調査所によると、震源はポルトープランスの南西約15キロで、震源の深さは約10キロと極めて浅い。M5.0を超える余震が10回以上続いている。
AP通信によると、ハイチで平和維持活動を展開する国連ハイチ安定化派遣団(約9000人)の本部が深刻な被害を受けた。同国に展開する他の国連機関の建物も大きな被害を受けており、国連は「多くの職員が行方不明になっている」との声明を出した。ハイチ国内の通信事情は極めて悪くなっており、被害状況の把握が困難な状況だ。
隣国のドミニカ共和国にある日本大使館によると、ハイチの在留邦人は外交官を含めて約20人。ポルトープランスの日本大使館が邦人の安否確認を進めている。日本大使館の建物も壁に亀裂が走るなどの被害が出た。大使館への通話も断続的にしかできていないという。
オバマ米大統領は12日、「ハイチの人々を支援する用意」を表明した。ハワイを訪問中のクリントン米国務長官は、軍事・民生双方の人道援助を実施すると述べた。
周辺諸国には津波警報が出されたが、間もなく解除された。
理科年表によると、ハイチで起きた大地震による被害の記録はないが、周辺国では、1907年に西隣のジャマイカでM6.5の地震があり、1000人が死亡した。また東隣のドミニカ共和国では、1842年に死者4500人の地震があったほか、1946年8月にM8.1とM7.9の大地震が相次いで起き、100人の死者が出た。
【ことば】ハイチ
人口約900万人のカリブ海の島国。17世紀にフランスの植民地となったが、1804年に独立し、世界で初めての黒人国となった。人口の8割が1日当たり2ドル以下で生活する米州の最貧国。91年の軍事クーデターなど政変が続き、国連が04年から平和維持活動を展開している。