カドミウムが含まれているとして問題となった中国製の子ども用アクセサリー=AP
【ワシントン=勝田敏彦】米消費者製品安全委員会(CPSC)は11日、中国製の子ども用アクセサリーに有害な重金属カドミウムが含まれているとして、調査を始めた。米小売り大手ウォルマート・ストアーズは問題製品を店頭から撤去すると発表した。
この問題を最初に指摘したAP通信が、昨年10〜11月ごろにニューヨークなど4州で試験購入したアクセサリー103個のうち12個から10%以上のカドミウムを検出。91%に達した製品もあった。
一部の製品からカドミウムが容易に溶け出すこともわかり、幼児がアクセサリーを口にするとカドミウムが体内に入る可能性を指摘している。ただ、今のところ具体的な健康被害は見つかっていない。
中国製玩具からは2007年、有害な鉛や化学物質が検出され、日本でも製品の自主回収が相次いだ。その結果、中国の業者が鉛の代わりに、安くて加工しやすいカドミウムを使うことが珍しくなくなっているという。
カドミウムは発がん性などが指摘され、日本では腎臓に障害を起こして骨が弱るイタイイタイ病の原因物質として知られている。
問題になったアクセサリーが日本に輸出されているかどうかはわかっていないが、財務省貿易統計によると、08年の中国製玩具などの輸入額は4372億円で、玩具輸入額の9割近くを占める。
CPSCのテネンバウム委員長は12日、香港でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の玩具安全に関する会合で中国政府に対し「カドミウムなどを使わないよう業界に徹底してほしい」と演説した。