幕内最多の808勝を挙げた魁皇はいつもと変わらず淡々と会見に応じる=両国国技館
「大相撲初場所3日目」(12日、両国国技館)
ベテランの魁皇が幕内の通算勝ち星で単独1位の808勝目。進退のかかる千代大海を、容赦なく土俵にたたきつけた。「相手のことは考えず、思い切ってやるのが一番」。“鬼”となった魁皇が、金字塔を打ち立てた。
37歳の鉄人は「(記録を)いろいろ言われているが、気にしないようにしている。やったとか、そんなことは思わない。ただ思い切ってやれて良かった」。表情を緩めず淡々と言葉を連ねた。
地元は祝福ムード一色だ。福岡県庁はこの日、県民栄誉賞の授与を決めた。故郷の直方市も15日に表彰審査会を開き、賞の授与を決定するという。歓喜に沸く地元の様子を伝えるテレビを取組前の支度部屋で見た魁皇は「まあ、うれしいよね」と喜んだ。しかし、次の瞬間には「感慨に浸っている場合じゃない。これからが長い」と自分を戒めていた。
初土俵からの通算勝ち星も、あと24勝で1045勝の千代の富士に続く史上2人目の1000勝に到達する。鉄人は平常心で一歩一歩、さらなる高みへと向かう。
(2010年1月12日)