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千代大海 3連敗で引退まであと「3」

 魁皇(右)は千代大海を送り投げで下し、幕内最多の808勝目を挙げる=両国国技館
 魁皇(右)は千代大海を送り投げで下し、幕内最多の808勝目を挙げる=両国国技館

 「大相撲初場所3日目」(12日、両国国技館)

 今場所、大関復帰がなくなる6敗をした時点での引退を明言している関脇千代大海が土俵際に立たされた。大関魁皇の送り投げに尻もちをつく完敗。初日から3連敗と元気がなく、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)からも厳しい評価がされた。ベテランの魁皇が幕内の通算勝ち星で単独1位の808勝目を挙げたのとは対照的な、苦しい土俵が続いている。

  ◇  ◇

 土俵に四つんばいになった千代大海は、しばらく動けずにいた。先場所まで、同じ大関としてしのぎを削った魁皇に促されるように立ち上がると、小さくうなずいた。土俵を下り、視線を落としたまま花道を引き揚げる。「師匠と話はしない」と、この日の引退は否定したが、全盛期の覇気は消えていた。

 立ち合い、全力で当たっても魁皇は微動だにしない。いなされ、簡単に体が半回転し背中に回られた。魁皇の太い腕の中でもがく千代大海に残す腰はなかった。力任せの投げで、尻から土俵に落ちた。支度部屋では「思い切りいった結果なんで…」と淡々と振り返ることしかできなかった。

 過去20勝33敗。54回目の対戦だった魁皇とは、ともに2000年代の角界を支えてきたが、今場所置かれた立場は対照的だ。相手は前人未到の新記録を打ち立て、自らは関脇降下の憂き目に遭った。自分が敗れたことで、師匠の九重親方(元横綱千代の富士)の記録が更新されるという偶然も重なった。

 初日、2日目に続く完敗に、武蔵川理事長も心配顔だった。「厳しいよね。軽いもんね。終わったわけじゃないけれども、(大関に復帰できる10勝は)厳しいんじゃないの」。場所前に千代大海が自ら引いた引退ラインの「6敗」まで、あと3。4日目も関脇把瑠都が相手と厳しい戦いが続く。

 無数のフラッシュの中、表情を変えずに引き揚げ、「明日、頑張ります」と、自分を奮い立たせるように話した。大関在位中の515勝は史上最多。“もう1人の名大関”がプライドをかけて土俵に立つ。

(2010年1月12日)





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