オグ、涙の引退…「正直疲れた」 

 涙を見せながら引退会見する小椋久美子=三洋電機大東スポーツセンター
 涙を見せながら引退会見する小椋久美子=三洋電機大東スポーツセンター

 バドミントン女子ダブルスの人気ペアで、2008年12月に解散した『オグシオ』の小椋久美子(26)=三洋電機=が12日、大阪・大東市内で会見し、現役引退を発表した。北京五輪後は別のペアで12年ロンドン五輪出場を目指していたが、腰痛や足の故障などで満足な練習できず、焦りから慢性的な胃炎を発症。時折、涙も見せながら「正直、疲れたなっていう気持ちが強い」などと話した。今後は会社に残り、体調回復に努めながら、社業に専念する。

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 下した結論に悔いはない。ただ、ケガと体調不良に苦しんだ09年を振り返ると、小椋の目に自然と涙があふれた。

 「去年の1年間は本当に辛かった。だから、正直疲れたなっていう気持ちが出てきて…。(競技を)離れさせてもらいたい気持ちが強くなった」

 グレーのスーツに身を包んで臨んだ会見。筋肉が落ちたのか、肩幅や太ももあたりは少し余裕があった。これまで小椋を見続けてきたバドミントン協会・銭谷強化本部長は「細くなったよね」と、つぶやいた。一回り小さくなった体が、1年間の激闘を物語っていた。

 アスリートとして、そしてバドミントン界の人気ペア『オグシオ』として、走り続けてきたアテネ五輪から北京までの4年間の反動は、大きかった。09年1月に右足甲を痛めると、2月には風邪と、インフルエンザを発症。その後も持病の腰痛などを再発。コートに立てず、新しいペアさえ決められない焦りからか、慢性的な胃炎を発症した。「何度も体調を戻して復帰しようとしたけど、限界を感じました」。10月に引退をスタッフとフロントに相談。三洋電機と協会は慰留したが、小椋の決意は変わらず、1月4日に最終的に引退が決定した。

 今後は三洋電機に残り、体調の回復に努めながら、OLとして社業に専念する。現在はスポーツ推進部に所属しているが、会社関係者は「彼女はまだ若いし、今から何でもできるでしょう。社長秘書は無理でも、役員秘書をやらせたいって声はある。人気もあるしね」と、キャリアウーマンへの転身に太鼓判を押した。体調さえ戻れば、後輩やジュニアの指導に携わる可能性もあるという。

 池田信太郎との“イケシオ”ペアでロンドン五輪を目指す元相方の潮田へは「私がバドを続けてこれたのは玲ちゃん(潮田)の存在が大きい。私自身はもう五輪を目指せなくなったけど、頑張ってロンドンに行ってもらいたい」と、エールを送った。北京五輪直後にロンドン挑戦を明言していた小椋が引退を余儀なくされ、逆に引退を示唆していた潮田が、混合ペアで五輪を目指す。美人ペアのそれぞれの未来が皮肉な形で交錯した。

(2010年1月12日)

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