民主党の小沢一郎幹事長は12日、党本部で定例記者会見を開いた。やり取りは次の通り。
【土地購入疑惑】
――東京地検特捜部から幹事長に任意の事情聴取を要請されていると思うが、お受けになる考えはあるのか。陸山会の資金に関して、銀行の定期預金を担保に4億円の融資を受けたとこれまで説明しているが、石川議員は特捜部の調べに4億円は現金で小沢幹事長から渡されたと説明している。4億円の原資についてご説明を。
「あと他にありますか? それに関連したの? 関連したものであれば言って下さい、先に。いっぺんに答えますから」
――石川議員は小沢氏から4億円現金で受け取ったと供述しているが、それは事実なのか。
「同じことじゃない。はい、分かった。はい、はい」
――もし石川さんが小沢さんから4億円受け取ったのが事実だとすると、そのとき払った土地代金を先に払って、その後に定期預金を組んだことになっている。その後に定期預金を担保に4億の融資を受けている。こういう複雑な会計処理をする必要がなぜあったのか。
――この問題に関連し、東京地検特捜部が正式の記者会見とか国民に対する発表がないまま情報だけがメディアを通じて一方的に伝えられ続けている。この状況は、一国民として違和感を感じるところもなくはない。検察のあり方、メディアのあり方についてどう考えるか。
――幹事長は参院選に向けて比例候補を発表したが、土地取引の問題が党の支持率や参院選にどのような影響を及ぼすと考えるか。
――報道各社の世論調査でこの問題に関して幹事長は説明責任を果たしていないという回答が8割か9割に及ぶ。説明責任を果たしている、尽くしているとお考えか。
「大体良いですか」
――一部週刊誌報道で、4億円の原資が小沢幹事長の奥さまがご提供したものだという報道がある。それも合わせて。
「じゃ、いいですか? それに関連する問題は」
――原資に関して、そのうちの1億円について1月10日付赤旗の日曜版に水谷建設の関係者からの証言が詳細に記載されている。それが事実なら、幹事長がこれまでお金の流れについてオープンにしてきたとおっしゃることと矛盾する。これが事実とするならどう責任をおとりになるのか。
「はい、じゃあ、それらの問題についてお答え致しますが、昨年の春以来、私の政治団体の問題で特に大量の報道もなされまして、国民の皆さまに誤解を与え、また大変ご迷惑、ご心配をおかけ致していることを大変申し訳なく思っております。この私の政治団体に関することにつきましては、まだ捜査が継続中というようでもありますし、そのことに関しては弁護士にすべて一任を致しておりますので、今この段階で個別のことについて私が色々と申しあげることは差し控えるべきであろうという風に思っています。それはそれとして、以前から何度も申しあげております通り、私自身も、また私の事務所の者たちも計算上のミスやらそういったものはあったかも知れませんけれども、意図的に法律に反するような行為はしていないものと信じております。また、ご承知のように私の東京の後援会の事務所、盛岡の事務所、あるいは水沢の実家の事務所が強制捜査の対象となっておりまして、すべての書類等々が押収されております。それからまた、その後も弁護士等を通じて事実関係には包み隠しなく話しておると思います。従いまして、今の段階で私が申し上げるのは差し控えますけれど、検察当局におきましてはこの問題についてすべてご存じのことであるという風に思っております。以上です」
――今の件ですが、事情聴取に応じるつもりはないということですか? 弁護士一任という風におっしゃったんですけれど。
「最初の言葉を聞いてくれました?」
――聞きました。はい。
「今の段階で個別のことについて私が申しあげるのは差し控えた方が良いと。そう思っております」
――それを解釈すると、事情聴取に応じるつもりはないと。違いますか?
「指されてから言わなくちゃダメでしょ。ルールは守って下さい。あなたも日本テレビなら」
【政治資金】
――以前、「日本改造計画」の中で述べられた考えについて確認したい。政治資金に関することだが、政治資金制度の改革と同時に、違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべきであると。具体的には違反者を公民権停止にし、言い逃れを封じるために連座制も強化すると。政治家が自ら重い責任を果たすために自分自身を厳しく律する自律自浄の措置として実施すべきだと思うと書かれている。こうしたお考えは現在もお変わりないか。
「今もそう思っております。それで、あなた方知っているかな、政治資金管理団体がどうして本人が代表者になるようになったんですか? 分かっている」
――人格なき……。
「違う違う違う違う違う。政治資金規正法の、20年ぐらい前かな、以前は秘書が全部代表者やなんかやっていたんです。なぜ本人が代表になることに改正されたか分かります? これはそんなに古いことじゃないんだ。昔は全部秘書やなんかが代表者や会計責任者、みんなやっていた訳。そういうことにすると秘書がすべてやっていたということで、自分の責任を逃れるということがあってはいけないということで、本人が代表者になるようにという改正がなされたんです。ですから、そういう意味で、今君が言ったようなことについては今もなお私はそう考えています」
【外国人参政権】
――永住外国人への地方参政権を付与する法案について、昨日の会合で政府提出で合意した。ただ、民主党内では付与に対して慎重な意見もあれば、連立を組む国民新党は反対しています。この問題について党内で党議拘束をかけるつもりはあるのか。国民新党をどのように説得されていくのか。
「あの、このことについては皆さんもご承知と思うけれども、党内で審議の場を作って渡部恒三氏がトップだったかな、それで何度も議論を重ねて参りました。最終的に統一した結論というものは、ま、採決した訳じゃありませんので、なくて、両論併記のような形で私のところには上がって参りました。いずれ結論を出そうというようなことでありましたけれども、その経過を見ても、党内においても色んな賛否の意見があることは間違いのない事実だと思いますし、賛否の意見があってもそれは結構なことだと思っております。んー、ただ、昨日か、政府民主首脳会議で合意しましたのは、やはり日本国としての、日本国政府としての姿勢を明確にすべきだろうと。そのためには議員立法でも別に法律としては同じことですけれども、政府の提案という風にするのがよろしかろうということで一致して、できるだけ速やかに検討してその方向でやろうということになったということでございまして、党議拘束うんぬんというのは、ま、基本的には自分たちの政府が提案する法律でございますから、党議拘束かけるかけないというよりも、その認識を持って、もし提案された場合には、各人がきちんと行動してくれるものと思います」
【首相への意欲】
――民主党が政権を取ったら生活が楽になるかと思ったら、実感がない。鳩山首相はマニフェストをきちんと実行してくれるのかと思ったら、優柔不断で発言もコロコロ変わります。また、小沢さんに操られているのではないかという声もあります。
「ふふふふ」
――それなら小沢さんが首相になった方が分かりやすいし、マニフェスト実行も早くできるんじゃないでしょうか。早くできるようになるため首相になる考えはありませんか。
「まだ、あの、私には皆さんから毎日批判を受けている身ですから、総理になる資格はありません。そのつもりもありません。ただ、鳩山内閣ですね、もうちょっと日本人はこう、せっかち、性急に結論をちょっと求めすぎてんじゃないかなと思いますが、まだ予算も実行されておりませんから。私は今度の予算の中身についてもね、それはマスコミの諸君にもお願いしたいんだけど、ものすごく画期的なものがいっぱい含まれているんですよ。ですから、そういう意味で、もし実施されれば、私はああ本当に政権が変わったからこういうことになったんだなあと。自分たちの生活にはこういう影響が出たんだなということが分かると私は信じております。マニフェスト100%、トタで全部今年からスタート出来た訳じゃもちろんないんですけれども、その意味では私は早く予算を通して、そして、国民皆さんが実感を持って、ああ民主党政権てのはこういうことなんだと分かって頂けることを願っています」
【事情聴取】
――先ほどの質問で、東京地検の特捜部の事情聴取に応じるか応じないか、お答え頂いていない。やましいことがないのなら、ご自分で説明するのが一番分かりやすいと思うが。
「あなたもさっきの最初の発言のときのことをよく聞いててよ。だから私最初に冒頭に言ったでしょ。まだこの問題について皆さんに色々ご迷惑かけているけれども、まだ捜査が続行中というようでもあるから、その時点で私が申し上げるのは、個別のことについてどうするこうするということを申し上げるのは適切でないという風に言ったつもりでございます。いずれにしても、あの、きちんと一応の区切りがつきましたならば、なんでも皆さんの質問に、ま、そのときは答える必要もないくらい皆さんも分かると思いますけれど、お答え致しますが、今その最中ですので、まだその区切りがつくまでは少しご勘弁を願います。ということでございます」
【検察とメディア】
――先ほど質問させいて頂いたことについてお答え頂けなかったのでもう一度聞きます。一般論としても重要だと思う。政治家としても人権があるし、適用されるべきだ。小沢幹事長1人の話ではなく、まだ捜査当局が発表もないうちからリーク情報ですべてのマスコミがどんどんと1人の人間を容疑があるかのように報道していく、これが一般の社会人であったら新聞等も抑制するはずだが、そうした状況が見られないように思う。小沢幹事長の方の賛否は抜きにして、こうした検察とメディアのあり方についてどのようにご覧になっているのか。
「えー、私はもう、二十数年、皆さんのご批判ばかり受けておりますので、それについて特別反論したり批判したりするつもりはありませんけれども、私自身は自分自身の生き様をずっと貫いてきたつもりでありますし、その意味において何らやましいところは私はありません。ただ、まあね、人間ですから、色々言われて楽しい訳じゃないですけれども、これは一般の市民、一般の皆さんという立場からすればですね、それはお互いに注意をしなくてはならないことであろうとは思いますけれど、私の立場はこういう政治の中にある立場ですので、そういうことも甘んじて受けなくてはいけないのかなあと、そう思っております」
(司会:以上で会見を終わります)
「ありがとう!」