小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入に伴う会計処理を巡る問題で、同会が05年1月、小沢氏関係の2政治団体から寄付された計2億8000万円について、事務担当者で小沢氏の元秘書だった石川知裕衆院議員=北海道11区=らが東京地検特捜部に「実際には寄付はなかった」と供述していることが分かった。土地は04年10月に購入済みだったが政治資金収支報告書には寄付直後の05年1月と記載。この時期の購入原資と装うため虚偽の寄付の記載をしたとみて、特捜部は石川氏から再聴取して解明を進める。
これまでの調べなどによると、陸山会は04年10月、小沢氏から手持ちの現金4億円を受領し、東京都世田谷区の土地を約3億4000万円で購入した。この直後、金融機関に4億円の定期預金を組み、これを担保に小沢氏名義で同額の融資を受け、これを小沢氏からの借入金として収支報告書に記載し「土地購入の原資」と説明してきた。
しかし、現金4億円で土地購入代を支払った後、さらに4億円の借入金をする目的が不明なうえ、同会の収支報告書には小沢氏からの現金4億円の記載がなく、土地は05年1月7日に購入したと記載されている。
一方、収支報告書にはこの2日前の05年1月5日、小沢氏の関係政治団体「小沢一郎政経研究会」から1億5000万円、小沢氏が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」から1億3000万円が入金されたと記載されている。これと、定期預金を除く前年からの繰越金1億3800万円余を合わせると、陸山会には4億1800万円余の資金があり、1月7日の土地購入代金に充てられたように見えるようになっていた。
ところが、この計2億8000万円は実際には陸山会へ移動した形跡がなく、石川氏や、05年に事務を引き継ぎ記載した元私設秘書も特捜部の聴取に対し、陸山会への入金がなかったことを認めたという。
特捜部は04年10月に小沢氏の資金で土地を購入済みだったにもかかわらず、これを隠して05年1月の購入だったとする収支報告書を作成するため、計2億8000万円の移動を装った疑いがあるとみている模様だ。
毎日新聞 2010年1月13日 2時30分