企業会計に詳しい公認会計士によると、預金を担保に融資を受ける手法は、企業などが定期預金を解約せずに資産として残したまま、当座に必要な現金を用意する手段として使われる。例えば、将来の大きな設備投資のために積み立てた定期預金を担保に、運転資金を調達することはよくあるという。だが、陸山会の土地取引の場合、定期預金などにしていない流動性のある現金がすでに手元にあるので、金利負担を抱えてまでこの手法で資金繰りするメリットは少ない。
では、なぜこのような手法をとったのか。政治資金に詳しい弁護士は「預金担保による銀行からの融資を組み込めば、不動産の購入原資の特定が難しくなるからではないか」と指摘する。
政治家が表に出しにくい資金を使って直接不動産を購入すれば、購入原資の追及を招きやすい。しかし、元の資金を複数の口座や団体経由で政治団体に入れて政治資金にし、それを元手にした預金で融資を受ければ、収支報告書に記載されるのは定期預金を組んだ事実と銀行からの借入金のみとなる。不動産購入の資金繰りの過程や原資の性質は、当事者が説明しない限りわからないという。