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2010年1月 8日 (金)

民話はさておき・・・『昔 懇意だった猫とか…』

 この正月 松の内、近所の知人の留守宅に3日ほど通いました。
飼い主殿が帰省している間の「ネコさま世話係」です。
ネコさまは、超びっくりフェイスの一見ロシアンブルー、
実は雑種の『ちょっぱー』さんです・・・・・・・。

 訪問初日・・・・
もう何度か過去にお目にかかっているのに、
いちいちわたくしのことなど覚えてはおられぬようで、
『ちょっぱー』さん、超のつくナーバス野郎ざんす。
思いっきり見開いた目で 

「おめえ誰だよ!寄るなよ。」 と云っているのかどうか…、
押入れやコタツの中からなかなか出てきません。
気難しいネコは『まねき』で慣れておりますわたくし、
トイレ掃除、ごはんの補充と、ひと通り終えたら、
ダイニングテーブルのお菓子を摘みながら距離を保って遠く話しかけます。
…その日は触れずに帰ることにしました。
鍵を閉めて外に出ると、ドア越しにひとこと。
「…にゃーっ。」
っで、部屋に戻れば、また隠れてしまう…。
デリケートなお方です。
ちょっぴりせつない初日でした。

 2日目・・・・、
『ちょっぱー』さん、少し心を開いて近寄って参ります。
が、わたくしの座る椅子の陰などに隠れつつ、斜め後ろから、
威嚇しながらコミュニケートして来るという面倒な性格。
やはり『まねきタイプ』ですな。
ちょっぴり心を許した彼は……キッチンのシンクに跳び乗り、
「水道の水を垂らしちくりっ!」と鳴きます。
ぴちゃぴちゃと水を堪能する彼の隙を突いて
わたくし背中から攻めます。
最終的にはシッポの付け根を くにくにと撫でさせていただきます。

(シッポの付け根……。
昔ある知人が来宅した際、
若き『あんこ』のシッポを乱暴に掴んで遊んでいました。
それも付け根を狙って大胆に触るのです。
ずいぶんとサディスティックなことをする人だな!と目を見張りました。
ところがよく見ていると、ウチの『あんこ』なんと悶えまくりなんです。
イヤイヤまいったっ!
『禁断のテクを知った興奮っ』を…静かに覚えるわたくしでした。)

    急所のくにくに攻めに『ちょっぱー』さん、まんざらでもなさそうです。
ガルル!と一応威嚇しつつ、でも水と、お戯れでした………。
気持ちいいくせにぃ。
はいっ、本日はここまでっ。

 3日目・・・・・、
さあ、今日はようやくお友達になれるかもしれない大切な日。
案の定、いつになくフレンドリィに近づいて来ました。
ところが……、
時を経ずして、開錠の音!
ご主人さま方が予定より早くご帰還遊ばしたのです。
彼は別人、いえ、別猫のごとく、もぉー大はしゃぎです。
歩きかたが違います。
「喜びそのもの」と化し、そこここと飛び跳ねて踊ります。

 ご主人さま方と話すわたくしを見て、
「なんだよおまえ知り合いかよお!そーなのかよお!」
とばかりに、わたくしのGパンに「甘爪とぎ」
(『甘噛み』に準じた表現のつもりです。)を始めたではありませんか。
「ウチのネコが世界一可愛い」とは思いつつも、
びっくりフェイスの『ちょっぱー』、いい奴やぁん!

と、胸がきゅんとなりました。


 帰り道に思います。
ウチの子たちは、兄弟で飼ってあげて良かったんだなあ。
うむ、正解だった。

 ・・・・・・昔、子猫を貰いに行った先で云われたのでした。
「1匹育てるも2匹育てるも同じですよ。 連れていってあげて下さい。
  2匹のほうが寂しくなくて、猫は幸せですよ?」

その言葉で、カミサンにぴたっとくっついていた鍵シッポの『まねき』も
無事、ウチに貰われたのでありました。
たしかに2匹で良かった。
留守中ひとりじゃあ、寂しかろーもん?
『ちょっぱー』のあの孤独を思い出すと、もうたまりません。
あれが『まねき』だったら、ひとりでは寂しくて寂しくて、
死んでしまうですよ きっと・・・・・・・・。


 話は変わります。
わたくしがネコさんという種族とお近づきになれた、
『最初のお方』の話、をしとおございます。
わたくしが飼っていたのではありません。
ネコさんを飼っている人の部屋を、よく訪れただけです。つまり、
『昔わたくしが懇意にさせていただいておりましたネコさんの話』です。

   ・・・・・・・もう三十年近くも前のことです。
耳の聞こえない猫を飼っている人が居りました。
オッドアイ、あるいは金目銀目、と申しまして、
左右目の色が違う、白い猫でした。
片方が、空色に近い明るい『水色』で、もう片方が金色に近い明るい『黄色』、どこか謎めいた、神秘性を醸す目でありました。
シッポも長く、ちゃんと先まであり、
『あんこ』のように、お座りをするとくるりと巻いたそれで、前足が両方隠れました。
真っ白い雪のような、とても美しい猫でした。
名は『ねここ』といいます。

 『ねここ』は雨の中、
ダンボール箱の中にただ1匹、ずぶ濡れで鳴いていたそうです。
ほかの兄弟は既に拾われていったのかもしれません。
メスだと思って『ねここ』と名付け、
結果的にはオスだったのに、行方不明になるまで彼は
『ねここ』と呼ばれ続けたのでした。
当時、わたくしに動物愛護の精神は皆無でありました。
ほぼ「小学校低学年並みの接し方」をして、『ねここ』には、
多大なる迷惑をおかけしたと記憶しております。 

 『ねここ』はアパートの窓から外出を許されていました。
大きな芋虫を咥えて帰って来たり、
アゴが割れてキッチンの窓の下に倒れていたこともありました。
事故に遭ったのです。
今思えばかわいそうなことです。
耳の聞こえぬ不自由な身体で、外出させるべきではなかったのかもしれません。

   まあそれにつきましては、我々「猫人間」どもの間でも意見の分かれるところではございます。
   しかしわたくし、猫を10年以上飼ってみて思います。
都会では外に出すべきではないと。
たとえ狭い世界でも、彼らは家の中で命を全うさせてあげるべきだと、
今は強く思います。
  行方知れずになった『ねここ』、
無事ネコ人生を全うしたことを、祈るばかりです・・・・。
     
 ところで……一昨年春、某ディーラーの人に云いくるめられ、
カモのわたくし、車を買い替えました。
「花田さん、もう生産中止決定ですよ。買うならもう今しかない!」
あの、リーマンショックの半年前の話です。(笑)
その、とてもクラシカルなフォルムにフェティシズムすら覚えていたわたくしは、同型の二世代目を買い求めてしまいました。
前のは黒でしたが、今度は白にしました。
確かクールバニラと云いましたか、「郷愁そそる白」なんですよこれがまたっ。

   1920年代のアメ車をイメージしてデザインされた、その、数々の障害を持つお車を、『ねここ』と名付けて、可愛がっているわたくし、でございます。
    嗚呼また『ねここ』と出会えて、わたくしは幸せでございます。
   そうでした・・・・・。思い出しました。

    昔、某学校(声優志望の方が通う学校)で講師をさせてもらっていた頃、滅多に出席することのない飲み会で、

向かいに座った女の子に聞かれたのでした。
「先生、猫飼ってらっしゃいますよね? 白い猫ですか?」
いや、ちがうよ、と云ったわたくしに、その子は
「先生の肩の上に白い綺麗な猫が見えたもので、すみません。」
と切り返したのでした。
  『ねここ』は、わたくしと、たぶん、いつも一緒なのです。
おそらく。
飼っていたのはわたくしではないのに、
何故かわたくしには、そんな気がしてなりません・・・・・・・。


    今夜は、ふと…猫で、また長話をしてしまいました。

    お付き合い下さりありがとうございます。

    あっ、眠る前に火の元とか…気をつけて下さいね?

    では、今夜も好い夢を。

    おやすみなさいませ。


         2010年 1月 8日



            花田光こと伯林青 拝

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■皆様
 いつもブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
「読者様ご自身や身近な方のフォークロアーな体験を聞かせていただく」という特性上、当ブログでは2010年1月よりコメント開示は承認制とさせていただくことにいたしました。
すべて花田も目を通した上で承認を行うため、せっかくいただいたコメントの公開に若干のタイムラグが生じることもございますが、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。
なお、いただきました「フォークロアー」の中で、花田が強く惹かれたものにつきましては、別途ご相談させていただき、コメント公開ではなくブログの中で花田が語らせていただく場合もございます。
こちらも併せてご了承いただけますと幸いです。
お願いばかりで恐縮ではございますが、
今後とも当ブログを何卒よろしくお願い申し上げます。
 ■夏美様
先日は、コメント欄へのフォークロアーなエピソードのご投稿、誠にありがとうございました。
花田が、「夏美様の曾祖母様のエピソードに触発されて思い出したことがあり、それを記事にしたい。その際に夏美様からいただいたエピソードも紹介させていただきたい」と申しておりますが、いかがでしょうか。
公開が望ましくないようでしたら、こちらの記事のコメント欄に1/15までにコメントをいただけますと幸いです。
お手数をおかけし、申し訳ございません。
ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。   
                                管理人

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